クロアチア・ザグレブ、欧州最高のクリスマスマーケットを目指す
ザグレブのクリスマスマーケットは、冬の観光の拡大と地域活性化を目指すクロアチアの戦略的な取り組みの象徴として注目されている。
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クロアチアの首都ザグレブがヨーロッパで最高のクリスマスマーケットを開催しようと積極的に取り組んでいる。ザグレブのクリスマスマーケット、通称「アドベント・イン・ザグレブ」は、近年ヨーロッパ内外で高い評価を受けており、観光の新たな柱として注目を集めている。ザグレブは歴史的に夏のリゾート観光地として知られてきたが、冬季にも観光客を呼び込むため、この季節のイベントを戦略的な観光資源として位置づけている。
クリスマスマーケットは伝統的にヨーロッパ各地で冬の風物詩として親しまれ、中でもザグレブのマーケットはその規模と多様性で頭角を現している。その期間中、中心部の広場や通りは複数のマーケット会場に分かれ、それぞれが独自のテーマや装飾を施す。訪問者は屋台で伝統的なクロアチア料理やホットワインを楽しんだり、音楽ステージやライブイベントを巡ることができるほか、大規模なアイススケートリンクなど子どもから大人まで楽しめる催し物も充実している。
ザグレブ観光関係者はクリスマスマーケットが「冬のザグレブ」の魅力を象徴する存在だと語る。複数のエリアに分かれた会場構成は、訪問者に街全体を歩き回る楽しさを提供する一方、マーケットだけでなく周辺の文化施設や飲食店への誘客にもつながっている。マーケットを訪れた観光客が街のレストランやカフェを利用するなど、地域経済全体への波及効果も大きいという。
ザグレブのクリスマスマーケットは国際的な評価も高い。過去には欧州の観光サイトによる「ヨーロッパ最高のクリスマスマーケット」に複数回選ばれ、米CNNなど海外メディアでもその魅力が紹介されている。こうした評価はザグレブが長らく夏のシーズンのみ注目されてきた観光地であったという従来のイメージを一変させ、冬季観光の躍進を後押ししている。
中央政府や地方当局は、冬の観光を発展させることを経済戦略の一環としている。観光はクロアチア経済の重要な柱であり、特に夏季には世界中から訪問者が押し寄せる。しかし、冬季は観光客が激減する傾向があり、これを克服することが課題となってきた。ザグレブのクリスマスマーケットはこの観光の季節格差を是正する役割を果たすと期待されている。
実際、冬季にマーケット期間を設けることで宿泊施設の稼働率が向上し、観光収入の増加につながっているとの指摘もある。複数の関係者は「ザグレブの街全体が祝祭ムードに包まれ、観光客だけでなく市民自身も楽しんでいる」と述べ、クリスマスマーケットが地域社会にもたらすポジティブな影響を強調している。
とはいえ、ザグレブのクリスマスマーケットには課題もある。大都市に比べて規模が小さいことや、競争の激しいヨーロッパ各地のマーケットと比べて知名度で劣る点などが挙げられる。しかし、当局や関係者は「競争心を持って取り組むことが重要だ」と語り、今後も「ヨーロッパ最高」の称号を目指してイベントの質と魅力を高めていく方針だ。
ザグレブのクリスマスマーケットは、冬の観光の拡大と地域活性化を目指すクロアチアの戦略的な取り組みの象徴として注目されている。冬の季節であっても活気ある観光地としてのザグレブの存在感は、今後さらに高まっていくとみられる。
