セルビア首都で反政府デモが暴動に発展、警察官含む数十人負傷
警察はベオグラードの北西部にある与党・セルビア進歩党(SNS)の事務所前で暴徒と衝突した。
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セルビアの首都ベオグラードで政府与党に抗議するデモが暴動に発展した。現地メディアが13日に報じた。
それによると、暴動は12日夜に始まり、13日未明まで続いたという。
警察はベオグラードの北西部にある与党・セルビア進歩党(SNS)の事務所前で暴徒と衝突した。
地元テレビ局が報じた映像には事務所前に集まった親政府派と反対派が石や瓶を投げ合う様子が映っていた。
警察は声明で、警察官16人を含む数十人が負傷したと明らかにした。
同様の争乱は国内の他の地域でも報告された。
ベオグラード警察はこの衝突後、数人を逮捕したと明らかにいた。
国営テレビは警察幹部の話しを引用し、反体制派がSNSの事務所前に集まった支持者を攻撃したと報じている。
ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領は13日の記者会見でこの暴動に言及。「非常に暴力的であり、容認できない」と非難した。
セルビアでは北部ノビサド駅の事故以来、政府に抗議するデモが全国各地で行われている。
この事故はノビサド駅の入り口で24年11月1日に発生。コンクリート製の天井が突然崩落し、6歳の少女を含む16人が死亡した。
ノビサド駅は1964年に建設され、近年2度改修工事が行われたものの、崩落した天井は工事に含まれていなかった。直近の工事は中国の国営企業が請け負っていた。
このデモは各地の学生ユニオンが主催。多くの学生が講義をボイコットし、政府に説明を求めるため、デモに参加している。
この結果、国内のほぼ全ての大学が閉鎖される事態となった。
ブチッチ氏は全国の大学に授業の再開と、デモに参加した大学関係者を解雇するよう要求している。
野党はブチッチ政権が犯罪組織と連携して対立勢力への暴力やメディア規制を推進していると主張。与党はこれを否定し、野党が国家転覆を企てていると主張している。
デモ隊は非暴力を誓い、参加者に平和的に抗議するよう呼びかけてきたが、6月末に一部が暴徒化し、100人以上が逮捕される事態となった。
デモ隊は汚職、怠慢、安全規制の無視が横行した結果、ノビサド駅の改修がおろそかになったと主張し、ブチッチ氏に責任を取るよう求めてきた。
政府与党は過去の抗議デモを鎮めることに成功してきたが、現在の学生運動は農業組合、教職員、看護士、弁護士、医師、裁判官、俳優など、あらゆる階層から広く支持を集めており、収まるどころか勢いを増しているように見える。
捜査当局は今月初め、この崩落事故に関連して元大臣を含む6人を逮捕したと明らかにした。
検察は6人が中国企業に請求書(工事費)を水増しして提出するよう求め、国に1.15億ドル(約169億円)の損害を与えた疑いがあると指摘している。
中国企業は請求書を水増しすることで1880万ドル(約27.7億円)の利益を得たとされるが、詳細は明らかになっていない。
検察は昨年末、この事故に関連してベシッチ(Goran Vesic)前建設相を含む13人を起訴した。13人は公共の安全に対する重大な犯罪行為と公共工事で不誠実な対応をした罪に問われている。有罪が確定すれば、12年以下の懲役刑に処される可能性がある。