セルビア・クロアチア国境のドナウ川で移民船転覆、1人死亡、9人救助、全員中国人
セルビアは西欧(主に英独仏)への亡命を希望する移民が使うバルカンルート上に位置する。
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セルビアとクロアチアの国境を流れるドナウ川で10人の中国人を乗せた船が転覆し、1人が死亡、9人が救助された。セルビア警察が6日、明らかにした。10人はセルビアからクロアチアへの入国を試みたとみられる。
事故はベオグラードの北西約90キロの地点で5日の夕方に発生。セルビアの救助隊が1人の遺体を収容し、4人を無事救助した。全員中国籍であった。
クロアチアの救助隊も中国人男性3人と女性2人を発見・救助したという。
セルビアは西欧(主に英独仏)への亡命を希望する移民が使うバルカンルート上に位置する。
移民たちはセルビアからEU加盟国であるクロアチア、ハンガリー、ルーマニアを経由し、さらに移動を続ける。
近年、欧州への亡命を目指す中国移民が増加している主な理由は、国内の政治的抑圧と将来への不安である。
習近平政権下で言論・宗教の自由が制限され、監視社会が強化された結果、自由な生活を求める人々が国外脱出を図るようになった。
また、経済成長の鈍化や若者の高失業率、社会的格差の拡大も移住動機の一因となっている。
特にコロナ禍の厳格なロックダウンは、多くの人々に不信感と閉塞感を与えた。こうした状況の中、一部の中国人はバルカンルートを使い、陸路で欧州に向かっている。
欧州では政治亡命制度が整備されており、中国に比べて言論の自由や人権が保障されているため、彼らにとって魅力的な「逃げ場」となっている。
ただし、欧州側の難民認定のハードルが高く、必ずしも保護が得られるわけではない現実もある。