◎コソボ共和国は2008年にセルビアからの独立を宣言。西側諸国の大半はこれを承認したが、セルビアやその同盟国であるロシアと中国は認めていない。
2023年5月29日/コソボ北部、NATO平和維持軍とセルビア系住民が衝突した現場(AP通信)

中国政府は30日、コソボ共和国でセルビア系住民とNATO平和維持部隊(KFOR)が衝突したことを受け、セルビアの主権を領土を守る努力を支持すると表明した。

コソボは2008年にセルビアからの独立を宣言。西側諸国の大半はこれを承認したが、セルビアやその同盟国であるロシアと中国は認めていない。

コソボ紛争(1998~99年)の死者数は1万3千人と推定されている。セルビア軍によるアルバニア系住民の虐殺は国際的な批判を引き起こし、NATOが紛争を終わらせるためにセルビアを空爆した。

中国はこの紛争におけるNATOと米軍の関与および、首都ベオグラードの中国大使館が空爆されたことを長年批判してきた。この空爆により中国人記者3人が死亡した。

米国が情報の行き違いによる誤爆と認め謝罪した後、中国・北京などの米公館が襲撃を受け、両国の関係は負の軌道に乗った。

中国外務省の毛寧(Mao Ning)報道官は30日の定例会見で、「暴力の責任はセルビアの主権を尊重しなかったコソボにある」と主張した。

コソボ北部のセルビア系住民は最近行われた地方選挙をボイコットし、その結果、アルバニア人市長が誕生した。

毛寧氏は選挙で選ばれたアルバニア人市長を批判し、「多数派を占めるセルビア系住民がこの地域を統治すべきだ」と述べた。

セルビア系住民は先週、アルバニア人市長の就任を阻止するために自治体事務所を襲撃、占拠しようとし、暴力に発展。この暴動により、コソボ政府の要請を受け対応に当たったKFORの兵士少なくとも30人が負傷した。

毛寧氏はNATOに対し、「関係国の主権と領土保全を尊重し、地域の平和を確立するよう求める」と要請した。

報道によると、セルビアのブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領はロシアおよび中国の大使と会談する予定だ。

1999年のNATO介入により、セルビアは最終的にコソボから撤退したが、この紛争は依然として東欧における戦争の火種となっている。

バルカン諸国はウクライナ侵攻が始まって以来、軍備を増強し、この地域の脆弱な平和が脅かされるのではないかという懸念が高まっている。

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