ポルトガル・ケーブルカー脱線事故、ケーブル破損と整備不良が原因=調査委員会
この事故は9月3日に発生。市中心部を走るケーブルカーが脱線・大破し、16人が死亡、21人が負傷した。
.jpg)
ポルトガル・リスボン市内で先月発生したケーブルカー脱線事故のついて、調査委員会は20日、鋼製ケーブルの破損と整備不良が事故につながったと報告した。
この事故は9月3日に発生。市中心部を走るケーブルカーが脱線・大破し、16人が死亡、21人が負傷した。
航空・鉄道事故防止調査局(GPIAAF)によると、事故当時、木造のケーブルカーは坂道を猛スピードで下り、カーブで脱線して建物に激突。亡くなった16人のうち11人は外国人であった。
GPIAAFは報告書の中で、「両車両を連結し、重量バランスを保つ地下の鋼製牽引ケーブルはその役割に十分な強度を有していなかった」と指摘。このケーブルは公共交通機関向けとして認証されておらず、製造元の指示通りに敷設されていなかったという。
このケーブルは約1年前に敷設されたばかりであった。
GPIAAFはケーブルの整備計画がなく、時代遅れの基準と指摘。同様の事例が5件確認されたとしている。
ケーブルが破損した後、安全システムがケーブルカーの電力を遮断したため、空気圧ブレーキが機能しなくなり、手動ブレーキも坂道を駆け下りる車体を止めるのに十分な強度がなかった。
GPIAAFはケーブルカーの手動ブレーキを改善する必要があるかどうかも調査している。
最終報告書は来年公表される予定だ。
リスボンでは急な坂道が多いためケーブルカー(エレヴァドール)が市民や観光客の足として活躍している。
代表的なものに「グロリア線」「ラブラ線」「ビッカ線」の3路線があり、いずれもレトロな車両が魅力。1880年代から運行されており、現在は電力で動いている。
美しい街並みを背景に走るケーブルカーは移動手段であると同時に観光名所としても人気がある。