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ブルガリア地裁、ベイルート港爆発のロシア人被告の身柄引き渡しを却下

被告は爆発の原因である硝酸アンモニウムをベイルートに運んだ船の元所有者とされ、レバノン当局が国際手配していた。
2020年8月5日/レバノン、首都ベイルート(Getty Images/AFP通信)

ブルガリア・ソフィアの裁判所は10日、2020年8月のレバノン・ベイルート港爆発に関連する裁判で、ロシア国籍のイゴール・グレシュシキン(Igor Grechushkin)被告のレバノンへの身柄引き渡しを認めない決定を下した。

被告は爆発の原因である硝酸アンモニウムをベイルートに運んだ船の元所有者とされ、レバノン当局が国際手配していた。

ソフィア地裁はレバノン当局が「被告が死刑判決を受ける可能性がある場合、それが実行されないことを保証する十分な確約を示していない」と判断した。被告の弁護士はこの点を指摘し、地裁の決定を歓迎した。

一方、担当検事はレバノンの司法省、最高裁判所、検事総長からの正式な保証があれば送還条件を満たすと主張し、控訴する意向を示した。

被告は9月にソフィアの空港で入国時に逮捕され、以降拘束されていた。今回の裁判では収監継続となり、拘束令の取り消しは認められなかった。

2020年8月4日の大爆発では少なくとも218人が死亡、6000人以上が負傷、数十万人が住居を失った。

問題の硝酸アンモニウムは2014年に船から陸揚げされ、その後の捜査で港湾の倉庫に長期間放置されていたことが明らかになった。

今回の判決により、被告がすぐにレバノンに送還される可能性はなくなった。捜査・司法の遅延が続くなか、被害遺族や国際社会の間で改めて公平な裁判実現を求める声が高まることが予想される。

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