ブルガリア大統領が辞意表明、2021年以来8回目の総選挙へ
ブルガリアの大統領が任期途中で辞任するのは初めてである。
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ブルガリアのラデフ(Rumen Radev)大統領は19日、国民向けのテレビ演説で辞意を表明し、翌20日に憲法裁判所に辞表を提出する意向を示した。ブルガリアの大統領が任期途中で辞任するのは初めてである。
ラデフ氏は「祖国の未来をめぐる戦いはこれからだ」と国民に語り、今後も国の運営に関与していく姿勢を示した。憲法上、辞任が憲法裁で認められれば、副大統領が議会の承認を経て後任として残りの任期を務めることになる。
辞任の背景には、長引く政治危機と政情不安がある。昨年12月には大規模な反汚職デモが発生し、与党GERB(欧州発展のためのブルガリア市民)率いる連立政権が辞任に追い込まれた。その後、議会は新政権を構築できずにいる。その結果、2021年以来8回目となる総選挙が近く実施される見込みであり、政局は混迷を極めている。
ラデフ氏は元空軍司令官で2017年に初当選し、2021年に再選を果たした。左派寄りの立場とされ、特に腐敗と闘う姿勢を強調してきた一方で、政治的対立に巻き込まれ、GERBのボリソフ(Boyko Borissov)元首相や米英で制裁対象となっている実業家のペエフスキ(Delyan Peevski)氏などの政治勢力とたびたび対立してきた。
今回の辞意表明をめぐっては、将来的に新党結成や次期選挙への出馬を視野に入れているとの観測が広がっている。ラデフ氏自身は最近のインタビューで「左派・右派問わずすべての民主主義者を結集する政党の必要性」を訴え、国民に支持される新たな政治勢力の創出を目指す可能性が指摘されている。
ブルガリアはEUおよびNATO加盟国であり、政治の安定が求められている。だが、長期にわたる政治危機や幾度もの選挙によって政府機能は不安定化し、汚職撲滅や経済政策の実行力が損なわれているとの指摘が強まっている。
副大統領が暫定的に大統領職を引き継ぐ間、議会は選挙日程の調整や暫定内閣の承認などを進める見通しである。政界内ではラデフ氏の辞任が政治再編のきっかけになるとの期待と懸念が交錯している。特に新党結成や選挙戦への動きが広がれば、ブルガリアの今後の政治地図は大きく塗り替えられる可能性がある。
