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ブルガリアがユーロ圏に加盟、21カ国目 2026年1月

これによりブルガリアはEU加盟国として21番目のユーロ圏加盟国となり、域内の経済・金融統合が一段と進むことになった。
ユーロ通貨(Getty Images)

ブルガリアは2026年1月1日、長年の目標であったユーロ通貨を自国通貨として採用した。これによりブルガリアはEU加盟国として21番目のユーロ圏加盟国となり、域内の経済・金融統合が一段と進むことになった。ユーロ導入は経済の一体化を深め、貿易や投資の円滑化につながると期待されているが、国民の間では懐疑的な声も根強い。

ユーロ導入に当たり、既存の通貨であるブルガリア・レフとユーロは一定期間併用される。固定為替レートは1ユーロ=約0.51レフで設定され、銀行口座は自動的にユーロへと切り替わる。現金での支払いは導入後約1カ月間レフも利用可能であるが、お釣りはユーロで渡される。古いレフ紙幣・硬貨は数週間以内に市場から姿を消し、6月30日までは銀行や郵便局、中央銀行で無料で両替でき、その後も中銀では無期限に交換可能だ。

ユーロ採用の最大の利点のひとつは、為替リスクと通貨交換コストの排除である。中銀によると、企業は為替交換コストを毎年約10億レフ(約930億円)節約できると見込まれている。また、ユーロ圏参加によりブルガリアは欧州中央銀行(ECB)の理事会に席を持ち、金利政策や金融政策に直接関与できるようになる。このため、対外信用力や国際的な金融活動における影響力が高まる可能性がある。

しかし、ユーロ導入に対する国民の意見は分かれている。世論調査ではおよそ半数がユーロ採用に反対の意向を示しており、物価上昇や国家主権の喪失を懸念する声が強い。こうした不安は主に経済的不透明感や政府・機関への信頼不足に起因していると分析されている。また、政治的には反対運動やプロパガンダが影響し、ユーロ加盟への支持率に悪影響を与えているとの指摘もある。

ユーロ導入はブルガリアにとって経済的なメリットがある一方で、金融政策の独立性を一定程度放棄する側面もある。ユーロ圏参加国は金利政策をECBが決定し、自国が独自に通貨を切り下げて競争力を高める手段を失う。だがブルガリアは従前からレフをユーロに連動させてきたため、この点に関しては既に政策の独立性を限定的にしているとの評価もある。

ユーロ導入による恩恵は一般市民にも広がる見込みだ。隣国ギリシャをはじめとするユーロ圏内での旅行やオンラインショッピングがより容易になり、価格比較や支払い手続きが簡素化される。また、投資家にとっては取引コストの低減や金融市場の透明性向上が期待される。こうした利点が中長期的に経済成長を促進する可能性も指摘されている。

ブルガリアは2007年のEU加盟時からユーロ採用を目標としてきたが、今回の移行は長年の準備と規制基準の達成を経て実現したものである。他の中欧・東欧諸国がユーロ圏入りの障壁を抱える中、ブルガリアの決断は欧州統合プロセスの前進を象徴する出来事と捉えられている。

こうしたなか、経済や政治の不確実性が残る状況で、ユーロ導入が国民生活や企業活動にどのような影響を及ぼすか注目が集まっている。

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