ブルガリア政府、抗議活動を受け2026年度予算案を撤回
今回、増税や通貨移行だけでなく、政府の財政運営と民主的正当性に対する国民の強い要求が改めて浮き彫りになった。
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ブルガリア政府が2日、来年度予算案を撤回した。これは同国が26年1月1日にユーロを導入する前の、ユーロ建て初の予算案であったが、国民による大規模な抗議デモを受け、見直しを余儀なくされた形だ。
問題の予算案は社会保障の拠出金引き上げや配当税の倍増といった増税措置を含み、これによって増大する歳出を賄おうというものだった。政府側は歳出拡大を正当化したが、多くの国民や企業は増税による生活・経済への打撃、さらには国家財政への不信を理由に反発した。
抗議は首都ソフィアをはじめ、全国の主要都市で広く展開され、数万人規模のデモが繰り広げられた。主に若い世代を中心とした市民は「増税反対」「政府の腐敗追及」「公正な予算を」と声をあげ、政治への不信と怒りを示した。
予算案は国会の予算委員会を通過していたが、政府は議会に対し正式に撤回を要請。同時に社会保障や国民健康保険など関連する予算案もすべて取り下げることになった。これにより、2026年の国家予算は改めて新たな審議手続きからやり直される。
政府の判断について、与党は労働組合や雇用主団体、野党との対話を再開し、社会の合意を得たうえで新たな予算案を策定する方針だとしている。だが、批判派は増税と支出拡大を通じて国家運営の透明性と公平性が損なわれたとの不信を根強く抱いており、新たな案に対する国民の監視と不満の高まりは避けられない見通しだ。
また、今回の撤回と抗議は同国のユーロ導入や経済の先行き、そして政府への信頼という観点から、国の将来に影を落とす事案と受け止められている。
予算案の再提出と採決が遅れれば、社会保障給付や公共サービスの予算確保にも影響する可能性があり、特に低所得層や中小企業への不安が広がっている。
今回、増税や通貨移行だけでなく、政府の財政運営と民主的正当性に対する国民の強い要求が改めて浮き彫りになった。予算を巡る議論は今後しばらく続く見通しであり、国の将来にとって重要な転換点になりそうだ。
