イギリス、北極圏における中露の進出に対抗、NATOと協議中
この協議は北極圏の安全保障態勢を強化し、両国の戦略的動きを抑止する方策を検討するためのものだとイギリス運輸相が明らかにした。
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イギリス政府はロシアと中国が北極圏で影響力を強めているとの懸念を背景に、NATO加盟国と協議を進めている。この協議は北極圏の安全保障態勢を強化し、両国の戦略的動きを抑止する方策を検討するためのものだとイギリス運輸相が明らかにした。
ロンドンの声明によると、アレクサンダー(Heidi Alexander)運輸相は11日、NATOとの対話は「通常の協議」であり、トランプ(Donald Trump)米大統領がデンマーク領グリーンランドの取得を示唆したことへの直接的な対応ではないと説明した。またアレクサンダー氏は北極圏がロシアや中国からの競争・脅威の対象になっていると述べ、NATO加盟国と共に有効な抑止力を維持する必要性を強調した。
トランプ氏はこの週末、グリーンランドの「取得」に改めて関心を示し、「ロシアや中国に取られる前に何らかの手を打つ」と述べた。グリーンランドはデンマークの半自治地域で人口約5万7000人、戦略的にも北極圏の要衝とみなされている。同島におけるデンマークの軍事力は限定的で、米国は既に同島に軍事基地を有している。デンマーク政府は米国による取得がNATOの結束を損なうと懸念を表明している。
アレクサンダー氏はBBCのインタビューで、ウクライナ情勢ほど劇的な現象は北極で見られていないものの、ロシアや中国の北極圏への進出が安全保障上の挑戦になっているとの認識を示した。また、イギリスとしてはNATOと連携して北極域への対応を進めることが重要だと述べた。
イギリスの駐米大使は、トランプ氏がグリーンランドを武力で奪う可能性は低いとしつつも、北極圏の安全確保は喫緊の課題であり、最終的には米国が主導的役割を果たすだろうと述べている。一方、イギリスの野党党首はイギリスがデンマークと共同指揮下でグリーンランドに部隊を派遣する案を提案。トランプ氏が真剣に安全保障に取り組むならば、NATO加盟国と協力し、挑発的な発言を控えるべきと主張した。
ただし、仮に米国がグリーンランドの支配を試みた場合、他のNATO加盟国がどのように反応するかは不透明だとの見方が示されている。加盟国の間でも北極圏の安全保障強化の手法には意見が分かれる可能性があり、今後の協議と調整が重要になるとみられる。
こうした動きは、ロシアと中国が軍事的・経済的に北極域での存在感を高めているとの国際的な評価を背景にしている。北極圏は資源や航路の点で戦略的価値が高く、NATO加盟国はこの地域の安定確保を西側安全保障の重要課題と位置付けている。今後、NATO内で具体的な対応策がまとまるかが注目される。
