ブリジット・バルドーさん死去、91歳、フランスを代表する女優
バルドーさんは1956年の映画『素直な悪女(And God Created Woman)』で国際的な名声を得た。
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フランスを代表する女優であり、1960年代のセックスシンボルとして世界的な人気を博したブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)さんが亡くなった。91歳だった。バルドーさんが設立した動物愛護財団が発表した。バルドーさんは12月28日に南フランスの自宅で亡くなったとされ、死因や葬儀の詳細はまだ公表されていない。
バルドーさんは1956年の映画『素直な悪女(And God Created Woman)』で国際的な名声を得た。この作品で見せた奔放な魅力が話題を呼び、以後30本近い映画に出演し、20世紀を象徴する映画の顔となった。その容姿と奔放なイメージは当時の性表現のタブーを打ち破り、性的解放の象徴とも評された。
バルドーさんは女優として成功を収めた後、1973年に俳優業を引退し、動物の権利保護活動に全力を注ぐようになった。1986年にはバルドー財団(Fondation Brigitte Bardot)を設立し、動物虐待や狩猟、実験動物の扱いなどに対して積極的に訴えた。南極のアザラシ狩りに抗議したり、動物実験廃止を求めたりするなど、国境を越えて多くのキャンペーンを展開した。この長年の活動により、フランス政府から1985年にレジオンドヌール勲章(国家最高勲章)が授与された。
しかし、バルドーさんの後半生は物議を醸す発言や政治的立場と共にあった。動物保護の主張が過激になるにつれ、イスラム教の宗教的儀式で行われる動物の屠殺に反対するなど、特定の宗教や移民に対して批判的な見解を繰り返した。これが原因で人種差別扇動の罪で複数回有罪判決を受け、罰金を科されることもあった。また、極右政治家や団体への支持を表明することもあり、批評家からは人権や社会の多様性に対する配慮を欠いているとの指摘も受けた。
私生活では4度の結婚を経験し、息子ももうけたが、彼女自身は俳優業に対して「それほどの情熱を持っていなかった」と語ることもあったという。引退後は南フランスに定住し、静かな生活のなかで動物保護活動を続けた。晩年は表舞台から一歩引いた生活を送っていたが、その影響力は映画界と動物愛護運動の双方に深い足跡を残した。
バルドーさんの死を受け、フランス国内外から哀悼の声が上がっている。政治的立場や発言について賛否は分かれるものの、彼女が映画史に与えた影響と、動物の権利保護に献身した人生は、今後も多くの人々に記憶されることになるだろう。
