◎ダシルバ氏は西側諸国のウクライナに対する兵器供与が戦争を長引かせていると主張し、西側政府を怒らせた。
ポルトガル・首都リスボンの在ブラジル大使館前で21日、ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)大統領に抗議するデモが行われ、ウクライナを支持する市民数十人が参加した。
デモ隊はダシルバ氏の煮え切らない態度を批判し、プーチン大統領を「殺人鬼」と呼んだ。
ダシルバ氏は先週の中国訪問で習近平(Xi Jinping)国家主席と会談。ウクライナ侵攻についても協議し、対話と交渉が危機を脱する唯一の実行可能な方法という見解で一致した。
またダシルバ氏は西側諸国のウクライナに対する兵器供与が戦争を長引かせていると主張し、西側政府を怒らせた。
ダシルバ氏は18日、今度はロシアによるウクライナの領土侵害を非難し、戦争終結に向けた調停を強く呼び掛けた。
ブラジル市民もロシアと西側を非難するダシルバ氏の「どっちつかず」の発言に困惑している。あるツイッターユーザーはこう書いている。「俺たちの大統領はいい顔をしてあることないこと言うが、結局どっちつかずで何もせず、ブラジル・ファースト政策を貫き通すだろう」
ウクライナ政府もダシルバ氏の煮え切らない態度を「中途半端」「被害者と加害者を同じように扱っている」と批判している。
ウクライナからリスボンに避難したウクライナ人女性はロイター通信の取材に対し、「ブラジル大統領の発言を聞き、悲しくなったので、デモに参加した」と語った。
「ブラジルの大統領はプーチンを応援したり、非難したりしています。何がしたいのですか?」
ロイターは情報筋の話しとして、「大統領は今回のポルトガル訪問で欧米政府のウクライナ支援への批判を避ける」と報じた。
ダシルバ氏は22日にコスタ(Antonio Costa)首相らと会談する予定だ。
在ブラジル大使館前に集まったデモ隊は「ロシアはテロ国家だ」「民間人を虐殺するな」などと書かれた看板を掲げた。
リスボンに拠点を置くウクライナ避難民をサポートするNGOはツイッターに「民主主義のために戦ったダシルバ氏は明確に意思表示すべきだ」と投稿している。「ダシルバさん、テロリスト国家と全体主義を全力で否定してください...」