SHARE:

ボスニアのセルビア人共和国が暫定大統領を任命、ドディク氏の退任確定

バビッチ氏はドディク氏の側近のひとりであり、11月23日に実施される大統領選挙まで、1ヶ月間、職務を代行する。
ボスニア・ヘルツェゴビナ、首都サラエボ(AP通信)

ボスニア・ヘルツェゴビナのセルビア系地域「セルビア人共和国(スルプスカ共和国)」の議会が18日、バビッチ(Ana Trisic Babic)氏を暫定大統領に任命した。これにより、ドディク(Milorad Dodik)大統領の退任が確定した。

裁判所は最近、ドディク氏の政治活動を禁じる命令を出していた。

バビッチ氏はドディク氏の側近のひとりであり、11月23日に実施される大統領選挙まで、1ヶ月間、職務を代行する。

また議会はドディク氏が憲法裁判所の決定に反したとして起訴されたことを受け、過去1年間に可決・施行された法律を無効とした。

ドディク氏はセルビア合流を目指す親ロシア派の民族主義者であり、これまで辞任を拒否し、大統領職を継続し、海外出張も続けていた。

ドディク氏は18日の声明で、「セルビア人共和国は政策を変更せず、分離独立が最終目標であり続ける」と主張した。

米国務省はこの決定を歓迎。「ボスニア・ヘルツェゴビナの危機を緩和するための米国主導の努力の結果である」と強調した。

セルビア人共和国はボスニア・ヘルツェゴビナを構成する二つの実体のうちの一つである。もう一方はボスニア・ヘルツェゴビナ連邦。

セルビア人共和国はボスニア・ヘルツェゴビナの北部および東部を中心に広がり、主にセルビア人が多数を占めている。首都はバニャルカ。1990年代初頭のユーゴスラビア崩壊に伴い、1992年にセルビア人勢力によって一方的に設立された。

その後、ボスニア紛争を経て、1995年のデイトン合意により、ボスニア・ヘルツェゴビナ国家内の正式な構成体として認められた。

独自の政府、議会、大統領を有し、一定の自治権を持つが、外交や通貨などは国家全体で共有されている。セルビアとの関係が深く、しばしば分離独立の動きも見られる。政治的には複雑な立場にあり、民族間の緊張も依然として課題となっている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします