◎バイデン大統領はウクライナ東部におけるロシア軍の兵力増強に深い懸念を表明し、ロシアがウクライナに侵攻した場合、欧州の同盟国と協調して強力な経済制裁を科すと警告した。
12月7日、ホワイトハウスの声明によると、ジョー・バイデン大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2時間にわたってウクライナ東部の危機などについて協議したという。
バイデン大統領はウクライナ東部におけるロシア軍の兵力増強に深い懸念を表明し、ロシアがウクライナに侵攻した場合、欧州の同盟国と協調して強力な経済制裁を科すと警告した。
ロシアはウクライナの国境付近とクリミア半島に9万人以上の兵を集めたと伝えられているが、ウクライナに侵攻する意図はないと主張している。
プーチン大統領は先週、ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟と東部への兵器配備を「レッドライン」と呼び、それが現実になれば最悪の事態もあり得ると米国をけん制した。
ウクライナはNATOへの加盟を求めているが、加盟に向けた具体的なスケジュールは示されていない。
ロシアは2014年にウクライナ南東部のクリミア半島を併合し、クリミアを「自国の領土」と宣言したが、国際社会はこれを認めていない。
その後、クリミアの北東部に位置するドネツクとルハンシクの分離主義者はウクライナからの独立を宣言した。ロシアは「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認したが、西側諸国とウクライナは分離主義者をテロリストと見なしている。
ホワイトハウスは声明の中で、「バイデン大統領はウクライナの主権と領土保全への支持を繰り返し、緊張の緩和と外交による危機の解消をプーチン大統領に求めた」と述べた。
また両首脳は東西の戦略的安定、ランサムウェアに関する問題、イランなどの地域問題についても協議したという。
ロシアは「7日に仮想サミットを行った」という簡単な声明を発表した。
バイデン大統領とプーチン大統領は6月の首脳会談で両国の大使を再派遣し、核軍備に関する対話を開始することに合意したが、ウクライナ問題を含む主要な課題はほとんど進展しなかった。
バイデン大統領は6日遅くに英仏独伊の首脳とオンラインで会談した。ホワイトハウスによると、首脳らはロシアが侵攻した場合、「ロシアの経済に重大かつ深刻な危害を加える」共同戦略を策定したという。
制裁の詳細は明らかにされていないが、ブルームバーグは「バイデン大統領はロシアとドイツを結ぶ新しいガスパイプライン、ノルドストリーム2を停止するよう要請した」と報じた。ノルドストリーム2は運用開始に向けた手続きを行っている最中である。
AP通信などは、「ルーブル(ロシアの通貨)を世界の主要な金融決済システムから締め出す」「ルーブルを外貨に換えるロシアの国営銀行に制裁を科す」可能性があると報じた。
バイデン大統領は7日に英仏独伊の首脳と再協議する予定と伝えられている。また、数日中にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とも会談する予定。