ドイツ空軍がポーランドに戦闘機派遣、ロシアドローン侵入受け
この展開はNATOが2025年秋に立ち上げた「イースタン・セントリー(Eastern Sentry)」の一環であり、同盟の東側戦線を守る抑止力を強める狙いがある。
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ドイツ空軍がロシア・ドローンによるポーランド領空侵犯を受け、東欧における防空態勢を強化するため、5機のユーロファイター戦闘機と約150人の兵員をポーランド北部の基地に派遣した。同空軍が4日、明らかにした。
この展開はNATOが2025年秋に立ち上げた「イースタン・セントリー(Eastern Sentry)」の一環であり、同盟の東側戦線を守る抑止力を強める狙いがある。ユーロファイターは2026年3月まで現地にとどまる予定だ。
ロシアによるドローン侵入は9月に発生し、ポーランドのF16戦闘機、オランダのF35、イタリアの早期警戒機(AWACS)、NATOの空中給油機などがスクランブルされ、侵入ドローンを迎撃。NATO加盟国がウクライナ戦争下でロシアに向け初めて実弾を発砲した事例となった。ロシアは関与を否定している。
ドイツ空軍は声明で、「この任務により、ポーランドおよびNATO全体への強い支援のメッセージを送ることになる」と述べた。今回の展開は2025年夏以降、NATO加盟各国が東ヨーロッパにおける警戒体制を明確に高めつつある動きの一端と見られている。
今回配備されたユーロファイターは今後数か月にわたり、迅速対応スクランブル、空域警備、抑止効果を目的に活動を続ける見込みだ。前方に基地を置くことでバルト海、ロシアの飛び地カリーニングラード州やポーランド北東部への侵入に対する即応能力が向上する。これにより、侵入のコストを上げ、さらなる試みを抑える意図がある。
さらに、ドイツはルーマニアにもユーロファイターを派遣しており、NATOの東側戦線全体を見据えた防衛強化を進めている。これらの配置は単なる一時的な措置ではなく、同盟国の防空戦略の一部として、長期的に維持される可能性が高い。
背景には2025年9月以降、ロシアによるドローン侵入や空域侵犯が相次ぎ、欧州の防空態勢にとって重大な試練となっていることがある。特にバルト海域やポーランドではドローンや戦闘機による挑発行為が頻発しており、防空のための地上システムや早期警戒機だけでは対応しきれないとの懸念が広がっていた。こうした中、有人戦闘機の配備は「即応性」と「抑止力」の両面で重要とされる。
ドイツの今回の動きはNATO諸国による「東側の結束」と「防空力強化」を世界に示すものであり、ロシアに対する警告としての性格を強く持つ。今後、配備されたユーロファイターの運用状況や、もしドローン侵入等が続いた場合の対応体制、及びNATO内部のさらなる防空強化策が注目される。
