ロシア、核搭載可能なミサイル「オレシュニク」をベラルーシに配備
ルカシェンコ氏はオレシュニクが17日に到着し、戦闘配備に入ったと述べたものの、配備数量や具体的な配備位置など詳細は明らかにしなかった。
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ベラルーシのルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領は18日、ロシアが核搭載可能な極超音速中距離弾道ミサイル「オレシュニク」をベラルーシ国内に配備したと発表した。
ルカシェンコ氏はオレシュニクが17日に到着し、戦闘配備に入ったと述べたものの、配備数量や具体的な配備位置など詳細は明らかにしなかった。今回の配備はウクライナ戦争の和平交渉が重要な局面を迎えている最中に行われた。
オレシュニクは中距離弾道ミサイルで、ロシアは核弾頭または従来弾頭を搭載可能と主張している。プーチン(Vladimir Putin)大統領は18日、同ミサイルが今月中に戦闘配備に入ると発言し、その速度や迎撃困難性を強調した。
ロシア国営メディアはオレシュニクがマッハ10以上の高速で飛行し、迎撃は不可能に近いと伝えている。また、ポーランドの空軍基地なら11分、NATO本部のあるブリュッセルまで17分で到達可能との報道もあるが、搭載弾頭が核か通常かは判別できないとされる。
オレシュニクは旧ソ連時代の条約により禁止されていた中距離ミサイルに分類され、米露が2019年に協定を離脱して以降、ロシアはこうしたミサイルの配備を進めている。ルカシェンコ氏とプーチン氏は以前からオレシュニクを年内にウクライナ方面に配備すると述べており、今回のベラルーシ配備はその計画の一環と見られる。
ロシアはこれまでにも戦術核兵器をベラルーシ領内に展開しており、ルカシェンコ氏自身も同国に数十発の戦術核があると公言している。ベラルーシはロシアのウクライナ侵攻において戦略的な位置を占めており、その領土が侵攻や軍事作戦に活用されてきた経緯がある。
一方で、ロシアの2024年改定核ドクトリンは他国の通常戦力攻撃に核兵器が関与すればロシアへの共同攻撃とみなすなど、核兵器使用の敷居を低くする内容となっている。この新方針はNATO・西側諸国がウクライナに長距離兵器を供与することを牽制する狙いがあると分析されている。改定ドクトリンにはベラルーシもロシア核の「傘」の下にあると明記されており、今回のミサイル配備はこの枠組みの延長に位置付けられる。
ルカシェンコ政権は近年、西側から人権侵害や民主主義後退を理由に批判され、制裁対象となってきた。これに対してルカシェンコ氏は対米関係の改善も模索しており、最近では政治囚の釈放を条件に米側がベラルーシに対する制裁を一部解除するなど、外交面での動きが見られる。こうした中で、ロシアとの軍事的結束は引き続き強固なものとなっている。
今回のオレシュニク配備は東欧およびNATO周辺での軍事バランスに影響を及ぼす可能性があり、各国の安全保障政策に新たな緊張をもたらすとみられている。今後の和平交渉や国際社会の対応が注目される。
