ヨーロッパ2025年8月24日

ベラルーシ大統領、政治犯1300人の釈放に否定的な考え示す

ベラルーシの独裁者であるルカシェンコ（Alexander Lukashenko）大統領は22日、同国の政治犯約1300人の今後に言及。「その多くを一斉に釈放することはない」と示唆した。

トランプ（Donald Trump）米大統領は先週の米露首脳会談に先立ち、ルカシェンコ氏と電話会談を行った。

ルカシェンコ氏はこの会談後、16人の政治犯を赦免した。

ベラルーシの人権団体「ビアスナ人権センター」によると、同国で収監されている政治犯は約1300人。その中には22年にノーベル平和賞を受賞した人権活動家ビアリアツキー（Ales Bialiatski）氏や野党指導者のコレスニコワ（Maria Kolesnikova）氏などが含まれている。

その多くが2020年の大統領選後の抗議デモに参加した人々である。

国営ベルタ通信によると、ルカシェンコ氏は政治犯の釈放に言及。「彼らを釈放すれば、再び私たちに対して戦争を仕掛けてくるだろう。社会はこれを支持しない」と述べたという。

ルカシェンコ氏はベラルーシに政治犯は存在しないと主張。政治犯ではなく「山賊」と呼んでいる。

ルカシェンコはプーチン（Vladimir Putin）露大統領の手下であり、ウクライナ侵攻を全面的にバックアップし、西側諸国から厳しい制裁を受けてきた。

しかし、先週のトランプ氏の電話会談後、政治犯を釈放。トランプ氏はSNSでルカシェンコ氏を「ベラルーシの尊敬される大統領」と呼び、1300人の政治犯の早期釈放を望むと表明した。

19人のノーベル賞受賞者は今週初め、トランプ氏に対し、ベラルーシの政治犯の釈放に向けて働きかけを強めるよう促す公開書簡に署名した。

ベラルーシの著名な野党活動家であるボルクネツ（Dmitry Bolkunets、亡命中）氏はトランプ氏が政治犯の釈放を実現した場合、ノーベル平和賞に推薦すると表明している。

ルカシェンコ氏は1994年に就任して以来、一貫して野党、人権団体、独立系メディアを弾圧してきた。

2020年の大統領選では結果に抗議するデモを鉄の拳でねじ伏せ、数万人を逮捕、数千人を殴打した。

それ以来、多くの野党指導者や活動家が亡命を余儀なくされている。

ルカシェンコ氏は今年1月の大統領選で7選を決め、同盟国ロシアとの連携をさらに強化した。