◎ルカシェンコ大統領はちょうど1年前に実施された大統領選挙の結果を称賛する8時間におよび記者会見を開催し、記者の質問に答えた。
ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は9日、1年前の大統領選挙以降に発生した抗議活動に対する大規模な弾圧や反体制派に対する厳しい取り締まりをすべて否定し、苦情や申し出は一切受け付けないと誓った。
ルカシェンコ大統領はちょうど1年前に実施された大統領選挙の結果を称賛する8時間におよび記者会見を開催し、記者の質問に答えた。
また、先日隣国ウクライナの公園で首つり状態で発見されたベラルーシ人活動家のヴィタリー・シショフ氏の死に関与したという疑惑を却下した。シショフ氏は大統領選以降の弾圧によりウクライナへの亡命を余儀なくされたベラルーシ人を支援していた。
ルカシェンコ大統領は記者団に対し、「私とベラルーシは彼(シショフ氏)を認識していなかった」と語った。「彼は誰ですか?私とベラルーシ人は彼を知りません。彼は何者ですか?ウクライナの警察は事件の詳細をベラルーシに提供しなさい。私たちは彼を知りません」
シショフ氏の死を調査しているウクライナ当局は他殺の可能性も考慮し捜査を続けている。シショフ氏の同僚およびガールフレンドはベラルーシ国家保安委員会(KGB)の関与を疑っており、「シショフ氏はKGBエージェントに監視されていた」と主張している。
ベラルーシの野党勢力、活動家、ルカシェンコ大統領の独裁に反対する市民、そして西側諸国は大統領選の結果を不正と見なしたが、ルカシェンコ大統領は選挙を「完全に透明」と呼び、抗議者を「テロリスト」扱いし、厳しく取り締まった。
最大の抗議デモは20万人以上を動員したと伝えられている。KGBと警察はデモに参加した市民35,000人以上を逮捕し、数千人を残酷に殴打し、主要な野党指導者は投獄もしくは隣国への亡命を余儀なくされた。
ベラルーシを27年間鉄の拳で支配してきたルカシェンコ大統領は記者会見の中で「新憲法が施行されれば辞任するだろう」と述べたが、具体的な時期については明言しなかった。
ルカシェンコ大統領は東京2020五輪の陸上競技にベラルーシ代表として出場し、その後ポーランドに亡命したクリスティーナ・ツィマノスカヤ選手を嘲笑した。「彼女は36位でした。なぜ彼女を代表に選んだのですか?」
ツィマノスカヤ選手は大会期間中にコーチを批判したことでルカシェンコ当局に帰国を命じられたが、飛行機への搭乗を拒否し、ポーランドの人道ビザを取得した。
ツィマノスカヤ選手は当局者に連行されかけたと主張したが、ルカシェンコ大統領は「KGBエージェントが五輪アスリートを誘拐しようとした」という非難を却下した。
ルカシェンコ大統領は大統領選後の紆余曲折を振り返り、「昨年は極めて困難な年だったが、ベラルーシの国民は団結を試される厳しいテストに合格した」と語った。「昨年の選挙は公正でした。しかし、一部のテロリストはいまだにクーデターを企てています」
またルカシェンコ大統領は、アメリカの経済制裁が続く場合、放射性物質の密輸を防止するアメリカとの協力を停止すると脅迫した。「EUに流れる可能性のあるダーティー・ボム(汚い爆弾)を止めたいのは誰ですか?西側は公正な無抵抗のベラルーシを脅迫し、恐喝し、打ち負かそうとしています」
昨年の大統領選に出馬し、その後リトアニアへの亡命を余儀なくされた野党党首のスヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏は9日、ルカシェンコ政権は「テロリスト政権」になったと述べ、西側諸国にさらなる制裁を科すよう要請した。
ツィハノウスカヤ氏はリトアニアのガブリエルス・ランズベルギス外相との合同記者会見の中で、アメリカを含む関係諸国の協調制裁措置に期待していると述べ、「私たちのチームはテロリストの犯罪を国際法廷で審議する準備を進めている」と明らかにした。
ランズベルギス外相は、「国際社会は違法な大統領が署名したいかなる国際協定も認めるべきではない」と述べた。
一方、イギリスは9日、ベラルーシに対する経済制裁を強化すると発表した。新たな制裁はベラルーシの国営企業との貿易と政府の財政を対象としている。ベラルーシ当局は5月末に英ライアンエアーの航空機をハイジャックし、搭乗していた反対派ジャーナリストを逮捕した。