◎一部の移民希望者はかみそりワイヤーフェンスを切断し、ポーランドへの侵入を試みたと伝えられている。
2021年11月8日/ベラルーシとポーランドの国境付近、移民希望者とポーランドの治安当局(Leonid Shcheglov/BelTA/AP通信)

11月8日、ベラルーシ政府の支援を受ける数千人の移民希望者がポーランドの国境に押し寄せ、治安当局と衝突した。

一部の移民希望者はかみそりワイヤーフェンスを破壊し、ポーランドへの侵入を試みたと伝えられている。

ポーランド政府は兵士12,000人を国境沿いに追加配備し、監視任務を強化した。

内務省は8日の記者会見で不法侵入を非難し、国境は制御されていると述べた。内務省が投稿した動画にはフェンスを隔ててにらみ合う数百人の移民希望者と治安当局が映っていた。一部の移民希望者は当局に物を投げ、抗議の声を上げた。

内務省によると、国境沿いで待機している移民希望者は3,000~4,000人にのぼるという。

ポーランド、リトアニア、ラトビアはここ数カ月、ベラルーシから不法に入国しようとする移民希望者の急増に悩まされてきた。移民の多くは中東とアフリカ出身で、アジア人も含まれている。

EUは8日、制裁に対する報復として移民の流入を促進したとして、ベラルーシの独裁者アレクサンドル・ルカシェンコ大統領を非難した。

ルカシェンコ大統領は昨年8月の大統領選以来、多くのベラルーシ亡命者を受け入れたポーランドとリトアニアを敵視しており、混乱を引き起こすために移民希望者を集めEUに送り込もうとしている。EUはルカシェンコ大統領の試みをハイブリッド戦争と呼んだ。

国境沿いの気温は日中でも零度を下回ることが珍しくなく、新たな懸念を引き起こしている。ベラルーシ側で活動を許可されているメディアによると、凍死者も複数報告されているという。ベラルーシ政府は移民希望者の帰還を拒否し、非常事態宣言下にあるポーランドは国境を固くブロックしているため、子供を含む数千人は立ち往生を余儀なくされている。

ベラルーシ州国境警備委員会のスポークスマン、アントン・ビチコフスキー氏はAP通信の取材に対し、「難民はEUに対して権利を行使しようとしている」と述べ、ポーランドの対応を非難した。「彼らは難民に与えられた権利を行使しているだけです。しかし、ポーランド政府は彼らにスプレーを吹きかけ、一部を拘束し、子供に冷たい地面の上で寝るよう強制しています...」

またビチコフスキー氏は国境沿いの移民希望者が急増したことについて、「彼らは強制追放を避けるために1カ所に集まった」と述べた。

一方、移民希望者の主な目的地であるドイツと他の欧州諸国は数千人規模の移民が集結したことに深刻な懸念を表明した。ドイツのシュテッフェン・ザイバート報道官は8日の記者会見で、「ベラルーシは人身売買業者のようなことをしている」と非難した。

欧州委員会は移民希望者がポーランドの国境管理機関の保護下に置かれることを望んでいると述べた。しかし、ポーランドのナショナリスト政府は移民の受け入れを断固として拒否し、「国境の壁」の建設に向けた動きを加速させている。

北大西洋条約機構(NATO)は8日、国境沿いの緊張が高まったことに懸念を表明し、地域の治安と安全を維持する準備はできていると声明を発表した。

リトアニアも非常事態の宣言と国境警備の強化に向けた検討を進めている。内務省は8日、「同様の侵入に備え、利用可能なオプションを検討している」と述べた。

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