◎ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相は、ベラルーシとの国境付近で進行中の難民危機問題を「国家テロ」と呼び、ベラルーシ政府を厳しく非難した。
11月10日、ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相は、ベラルーシとの国境付近で進行中の難民危機問題を「国家テロ」と呼び、ベラルーシ政府を厳しく非難した。
ベラルーシの国営放送によると、少なくとも3,000～4,000人の移民希望者がポーランドとベラルーシの国境に設置されたフェンス沿いで寝泊まりしているという。国境沿いの気温は日中でも零度を下回ることが珍しくなく、凍死者も複数確認されている。
モラヴィエツキ首相は記者会見の中で、「進行中の危機が国家テロであることは明らか」と述べ、ベラルーシの独裁者アレクサンドル・ルカシェンコ大統領を非難し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がルカシェンコ大統領の後ろで糸を引いていると強調した。
ロシアは旧ソ連のベラルーシを支援する数少ない国のひとつであり、EUはプーチン大統領の出方を伺いながらベラルーシに圧力をかけている。
ポーランド、リトアニア、ラトビアはここ数カ月、ベラルーシからの入国を試みる移民希望者の急増に悩まされてきた。移民は主にアフリカ、イラク、シリア、アフガニスタンの難民で構成されている。
ルカシェンコ大統領は昨年8月の大統領選以来、多くのベラルーシ亡命者を受け入れてきたポーランドとリトアニアを敵視しており、移民をEUに大量に送り込むことで混乱を引き起こそうとしている。EUは大統領選後の民間人に対する暴力と今年5月の民間旅客機強制着陸事件を受け、ベラルーシに制裁を科した。
しかし、ルカシェンコ大統領はEUとポーランドへの復讐として国境に移民希望者を送り込んだという主張を否定している。
欧州理事会のシャルル・ミシェル議長は10日、モラヴィエツキ首相との会談後の記者会見で、「難民危機はベラルーシの野党勢力を保護したポーランドに対する復讐と信じている」と述べた。
またミシェル議長はベラルーシに対する追加の制裁を検討していると明らかにし、「ポーランドとEUに対するハイブリッド攻撃を止める」と述べた。
ミシェル議長は先日ポーランド議会で可決され建設準備が進められている「国境の壁」について、ポーランドにEU予算を追加提供するかどうかを検討しなければならないと付け加えた。国境の壁は「かみそりワイヤー付きの高強度フェンス」になる予定と伝えられている。
ポーランドとリトアニアは壁の建設作業を進めているが、いくつかのEU加盟国と人権団体は壁が人道的危機を加速させる可能性があると懸念を表明し、計画の見直しを求めている。
10日にワシントンD.C.でジョー・バイデン大統領と会談した欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、来週ベラルーシに対する制裁を拡大すると述べた。ホワイトハウスは12月初旬までにルカシェンコ政権に新たな制裁を科す予定。
フォン・デア・ライエン委員長は記者団に対し、「移民の流入を後押しするベラルーシの国営航空会社に対する新たな制裁についてバイデン大統領と協議した」と明らかにした。ベラルーシの旅客機はEU圏内への立ち入りを禁じられている。
一方、ドイツ政府の報道官によると、アンゲラ・メルケル首相はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と10日に電話会談を行い、ルカシェンコ大統領に圧力をかけるよう促したという。
しかし、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は10日の会見で、難民危機とロシアを結び付けたモラヴィエツキ首相の声明は無責任極まりないと憤慨し、「EUは亡命を求める子供たちとベラルーシに財政支援を提供し、問題解決に向け努力しなければならない」と述べた。
ベラルーシと国境を接するウクライナは国境警備を倍増させ、リトアニアは国境沿いを対象とする非常事態を宣言した。国連安全保障理事会は11日に緊急の非公開協議を開く予定である。
沼地や森林エリアに押し込まれた子供を含む数千人の移民希望者は、両国とEUに支援を求めている。ベラルーシ当局によると、これまでに少なくとも8人の凍死体を確認したという。死因は明らかにされていない。
ベラルーシの国境警備委員会は10日、メッセージングアプリへの投稿で、「仮設キャンプのクルド人男性4人がポーランドの治安部隊に虐待を受け負傷した」と述べた。「4人は移民希望者に与えられた権利に基づき、ポーランドの領土で亡命を求めました。しかし、ポーランドの治安部隊は4人を虐待し、ベラルーシの領土に押し返しました...」
当局は負傷したクルド人男性の写真を投稿に添付している。主要メディアによると、国境付近への立ち入りを許可されているメディアは限られており、この主張が事実か否かを確認することは困難だという。
