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ベラルーシ大統領が米国特使と会談、西側との関係改善図る

国営メディアによると、両者はミンスクの大統領府で意見交換を行ったという。協議は13日まで続く予定である。
2025年12月12日/ベラルーシ、首都ミンスク、ルカシェンコ大統領(右)と米国のジョン・コール特使(AP通信)

ベラルーシのルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領は12日、首都ミンスクで米国のコール(John Coale)特使と会談した。これは西側諸国との関係改善を模索するルカシェンコ政権の取り組みの一環である。

国営メディアによると、両者はミンスクの大統領府で意見交換を行ったという。協議は13日まで続く予定である。

ルカシェンコ氏はコール氏に対し、「トランプ(Donald Trump)大統領の最近の行動を評価している」と述べ、自身が西側との関係改善に意欲的であることを強調したという。

また同政権関係者は、前回の協議を通じて米国が一部制裁を緩和したことを挙げ、政治犯のさらなる解放を進めると示唆している。

ベラルーシでは昨年以降、西側との融和を図る取り組みの一環として、多数の政治犯が釈放されている。公式発表によると、2024年7月以降430人以上の収容者が解放されており、その中には野党指導者の一人として知られるチハノフスキー(Siarhei Tsikhanouski)氏も含まれている。これらの釈放は欧米側からの圧力や交渉の成果として評価されている。

しかし、ベラルーシと西側の関係改善は容易ではない。ベラルーシは伝統的にロシアと緊密な同盟関係を維持しており、ロシアが2022年2月に開始したウクライナ侵攻に協力的な立場を示してきたことから、欧米諸国は長年にわたり同国に対し厳しい経済制裁を科してきた。特に人権状況への国際的批判は根強く、2020大統領選挙後に発生した大規模な反政府デモに対する厳しい弾圧が世界的な非難を浴びた。

ルカシェンコ氏は30年以上にわたりベラルーシを統治しており、強権的な政治手法や報道・言論の統制で知られる。そのため国内外の批評家からは「ヨーロッパ最後の独裁者」と呼ばれることが多い。2020大統領選では数万人規模の抗議デモが全国各地で発生したが、政府はこれを力で抑え込んだ。

今回の会談は西側との関係修復に向けたルカシェンコ政権の継続的な努力の一環と位置づけられるが、人権問題やロシアとの関係という大きな課題が依然として横たわっている。欧米が求める根本的な政治改革や自由な選挙制度の実現にはほど遠いとの指摘もあり、今後の交渉の行方が注目されるところである。

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