◎国営テレビに強制出演させられたジャーナリストのラマン・プロタセビッチ氏は、反政府デモを組織したことを認め、涙を流しながらルカシェンコ大統領を称賛した。
現地メディアによると、先月逮捕されたベラルーシのジャーナリストは首都ミンスクの国営テレビに強制出演させられ、独裁者のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領を称賛させられたという。
リトル・プーチンことルカシェンコ大統領は先月、ギリシャからリトアニアに向かっていた英ライアンエアーの旅客機の機内に爆弾が仕掛けられているとウソをつき、首都ミンスクの空港に着陸させたうえで、搭乗していた反対派ジャーナリストのラマン・プロタセビッチ氏とガールフレンドのソフィア・サペガ氏を逮捕した。
国営テレビに強制出演させられたプロタセビッチ氏は、反政府デモを組織したことを認め、涙を流しながらルカシェンコ大統領を称賛した。
プロタセビッチ氏の家族はAFP通信の取材に対し、「ベラルーシ政府は息子をテレビに強制出演させ、自白を強要した」と述べた。
プロタセビッチ氏はテレグラムメッセージングアプリのNextaメディアネットワークの共同創設者で、反ルカシェンコ派の活動と昨年8月に始まった大統領選挙の不正に抗議する集会の組織化で重要な役割を果たしてきた。
ベラルーシ当局は昨年、プロタセビッチ氏をテロ監視リストに追加している。これにより、同氏は扇動罪および犯罪集団を組織した罪で懲役15年以上の長期刑を科される可能性があると伝えられている。
ルカシェンコ大統領は昨年8月9日の大統領選挙で圧倒的勝利を収めたと主張し、選挙結果に抗議する市民および野党関係者を打ちのめすようベラルーシ国家保安委員会(KGB)と警察当局に命じた。ビアスナ人権センターによると、一連の抗議活動の逮捕者は35,000人以上にのぼり、数千人が残酷に殴打されたという。
プロタセビッチ氏はインタビューの中でルカシェンコ大統領を倒そうとしたことを認め、自分の意思でインタビューに応じたと述べた。
「過ちを認めるのですか?」というアンカーの質問に対し、プロタセビッチ氏は、「ルカシェンコ大統領を何度も批判しましたが、今になって彼が正しいことをしていると理解しました」と答えた。「私はルカシェンコ大統領を尊敬しています...」
またプロタセビッチ氏は、昨年の大統領選挙に敗れリトアニアに亡命した野党党首のスヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏と、クーデター計画を企てた別の共謀者の連絡係を務めたと述べた。
ロシア政府は4月、ルカシェンコ政権の沈没を企てたとされるベラルーシ人2人を逮捕している。
プラタセビッチ氏は、「ベラルーシの転覆計画はまだいくつも存在する」と述べ、インタビューの終盤に涙を流し、「いつか結婚して子供が欲しい」と語った。
プロタセビッチ氏の父親はAFP通信の取材に対し、「インタビューを見るのは苦痛だった」と述べた。「私は息子のことを誰よりも知っています。息子は自白するよう強制されました。自白せざるを得なかったのでしょう」
AFP通信によると、プロタセビッチ氏が国営テレビのインタビューに出演させられたのは3回目だという。同氏は別のインタビューの中で、抗議活動は無駄だと述べた。
西側諸国はルカシェンコ大統領のハイジャックを国家テロと呼び、5月25日のEUサミットに出席した首脳たちはベラルーシの国営航空会社をブロック内の空港と空域から締め出し、以前に科した制裁を強化した。アメリカもEUに続き、制裁を強化している。
ルカシェンコ大統領は先日、欧米の制裁を非難したうえで、「西側はベラルーシを絞殺しようとしている」とロシアのウラジーミル・プーチン大統領に泣きついた。
ベラルーシの外務省は6月3日、米国外交官の削減、米国人旅行者に対する規則の厳格化などの制限を課すと発表した。