◎西側諸国はルカシェンコ大統領のハイジャックを国家テロと呼び、25日のEUサミットに出席した首脳たちは新たな制裁に合意した。
5月26日、ベラルーシの独裁者、リトル・プーチンことアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は議会の演説で、「EUはベラルーシに戦争を仕掛けている」と述べた。
ルカシェンコ大統領は23日、ギリシャ発リトアニア行きの民間航空機を自国の空港に強制着陸させ、搭乗していたジャーナリストのラマン・プロタセビッチ氏とガールフレンドのソフィア・サペガ氏を逮捕した。
プロタセビッチ氏はテレグラムメッセージングアプリのNextaメディアネットワークの共同創設者で、反ルカシェンコ派の活動と昨年8月に始まった大統領選挙の不正に抗議する集会の組織化で重要な役割を果たしてきた。
現地メディアによると、ルカシェンコ大統領は、西側諸国はベラルーシに制裁を科すことで民主主義を破壊したと述べ、英ライアンエアー社のFR4978便の強制着陸はイスラム過激派組織ハマスの爆破テロから搭乗客を守るための措置だったと主張したという。
プロタセビッチ氏はベラルーシ当局のテロ監視リストに昨年追加されており、扇動罪および犯罪集団の組織で懲役15年以上の長期刑を科される可能性がある。
プロタセビッチ氏は昨年、死刑判決を受けることを恐れていると述べていた。ベラルーシはヨーロッパで唯一死刑制度を維持しており、テロに関与した者は死刑に処される。
プロタセビッチ氏とサペガ氏は24日に公開された動画の中で罪を認めているが、ベラルーシ国家保安委員会(KGB)の当局者に強制的に自白させられた可能性がある。
西側諸国はルカシェンコ大統領のハイジャックを国家テロと呼び、25日のEUサミットに出席した首脳たちは新たな制裁に合意した。
ルカシェンコ大統領は、強制着陸はハマスの脅威から搭乗客を守るためと主張したが、パレスチナのハマス当局者は関与を完全否定している。
反抗的なルカシェンコ大統領はハマスの主張を却下し、事件はスイスで発生した述べたが、スイス当局は「何も知らない」と関与を完全否定した。
ルカシェンコ大統領は演説の中で、「今回の迂回は原子力発電所を爆弾攻撃から守るために決断した」と語った。「私は搭乗客とベラルーシの国民を保護するために行動しなければなりませんでした。西側諸国は戦闘機を使って飛行機を無理やり迂回させたと主張していますが、真っ赤なウソです」
ベラルーシを約27年間鉄拳で統治してきたルカシェンコ大統領は、国際社会は内政に干渉していると主張した。「これは情報戦ではありません。ハイブリッド戦争(正規戦、非正規戦、サイバー戦、情報戦などを組み合わせた戦争)です。私たちは民主主義を破壊しようとする西側諸国の企みを阻止し、戦争を回避しなければなりません」
EUとイギリスはベラルーシに対する制裁を強化しており、ベラルーシの航空会社の圏内への立ち入りを禁止した。また、多くの航空会社がベラルーシへのフライトおよび領空の飛行を一時停止している。
<ベラルーシへのフライトを停止した航空会社>
・エールフランス
・KLMオランダ航空
・フィンエアー(フィンランド)
・シンガポール航空
・エア・バルティック(ラトビア)
・スカンジナビア航空
現地メディアによると、ベラルーシ政府はこれらの航空各社から年間数百万ドルの上空通過料を得ているという。
また、フランス、エストニア、アイルランド、ノルウェー、イギリス、アメリカなどは国連安全保障理事会の共同声明に署名し、ベラルーシ政府を非難した。
各国は国連の国際民間航空機関(ICAO)による緊急の調査を求めたが、これを実行するためには国連安保理の承認を得なければならず、ベラルーシ最強の同盟国ロシアの拒否権をクリアすることはほぼ不可能と考えられている。
ロシアのドミトリー・ペスコフ報道官は26日の記者会見で、「クレムリンはベラルーシの指導部の発言を信頼しない理由はないと考えています」と述べた。
ウラジミール・プーチン大統領は昨年、力づくでルカシェンコ大統領を追放するような事態が発生すれば、ベラルーシにロシア軍を派遣すると西側諸国に圧力をかけている。
We strongly condemn the forced landing of a Ryanair flight in Minsk and the detention by Belarusian authorities of journalist Raman Pratasevich and Sofia Sapega. We call on @ICAO to urgently investigate this unacceptable incident and for full accountability for those responsible. pic.twitter.com/1oPS9aV5Nw
— U.S. Mission to the UN (@USUN) May 26, 2021