◎ロシア軍はウクライナ軍のルハンシク州内の最後の拠点とされるセベロドネツクと対岸の都市リシチャンスクに総攻撃を仕掛けている。
ウクライナ東部ルハンシク州のガイダイ(Sergiy Gaiday)知事は24日、ロシア軍の猛攻にさらされていた同州セベロドネツクのウクライナ兵をより強固な陣地に撤退させていると明らかにした。
ルハンシク州のウクライナ軍はアゾト化学工場に拠点を置き、ロシア軍と一進一退の攻防を繰り広げている。同工場地下には市民数百人も身を寄せている。
ロシア軍はウクライナ軍のルハンシク州内の最後の拠点とされるセベロドネツクと対岸の都市リシチャンスクに総攻撃を仕掛けている。
ガイダイ氏はルハンシク州の95%をロシア軍に奪われたと見積もっている。ロシアと親ロシアのテロ国家は同州の西に位置するドネツク州への攻勢も強めている。
ガイダイ知事はAP通信のインタビューの中で、「ウクライナ軍は損失を抑えるためにセベロドネツクを離れ、より強固な要塞に移動している」と説明した。
ルハンシク州政府の報道官もテレグラムに、「撤退はすでに始まっており、数日かかる」と投稿している。また報道官は、政府の方針により、撤退任務の詳細は明らかにできないとした。
ガイダイ氏は、「遺憾ながら、セベロドネツクから部隊を撤退させなければならない」と述べた。「廃墟になった領土に留まる意味はないと判断したのです。戦死者は増え続けています...」
米ABCニュースは国防総省高官の話を引用し、セベロドネツクからの撤退を「戦術的逆行」と説明した。この高官によると、ウクライナ軍はより狭い陣地にロシア軍を誘い込もうとしているという。
ガイダイ氏はロシア軍の砲撃でセベロドネツクの建物のおよそ8割が破壊されたと説明した。「我が軍は反撃を続けながら撤退しています。ロシア軍の砲撃は容赦なく、街は焼き尽くされました...」
ガイダイ氏によると、ロシア軍はリシチャンスクへも進軍しており、偵察部隊が街の外れに侵入したが追い払うことに成功したという。
ガイダイ氏は「リシチャンスクにつながる橋は半壊しており、トラックを使用できなくなった」と説明した。また、セベロドネツクから撤退する部隊の一部はリシチャンスクの部隊に合流する予定だという。
ロシア国防省は24日、4つのウクライナ軍大隊と外国人傭兵部隊、合計約2000人をリシチャンスクの南でくぎ付けにしたと発表している。
ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は火力で優位に立つロシア軍と渡り合うためにはより強力な重火器が必要と西側諸国に呼びかけている。
ウクライナ政府は米国の長距離ロケット砲システム「ハイマース」が到着したと23日の声明で発表したが、前線に配備したかどうかは明らかにしていない。
AP通信は米国防総省高官の話を引用し、「多くのウクライナ兵がハイマースの取り扱い訓練を国外で受けており、7月中旬には追加のハイマースを持ってウクライナに戻る予定」と報じている。