◎ウクライナ軍は西側から供与された兵器を駆使して領土奪還作戦を活発化させると予想されている。
2022年7月12日/ウクライナ、東部ハルキウ州のウクライナ軍基地(Evgeniy Maloletka/AP通信)

ウクライナ政府は13日、ロシア軍が南部ミコライフ州を空爆し少なくとも5人が死亡、その他の東部と南部地域でもミサイル攻撃が相次ぎ、10人以上が死亡、数十人が負傷したと報告した。

ウクライナ軍はロシアの支配下に置かれた南部ヘルソン州で攻勢に出る一方、ロシア軍は南部ザポリージャ州への攻撃を再開し、東部だけでなくアゾフ海と黒海に面する南部地域も完全制圧すると示唆した。

ウクライナ軍は西側から供与された兵器を駆使して領土奪還作戦を活発化させると予想されている。

ここ数日の民間人の犠牲者は東部ドンバス地方を構成する州のひとつであるドネツク州に集中している。

ドネツク州のキリレンコ(Pavlo Kyrylenko)知事は13日、テレグラムの投稿で、「ロシア軍はバフムートを集中砲撃している」と報告した。

ドネツク州の東に位置するルハンシク州の州境付近でも激戦が続いているとみられる。同州のガイダイ(Sergiy Gaiday)知事によると、ウクライナ軍は同州郊外の2つ村を防衛するために戦っているという。

ガイダイ氏はテレグラムに、「ロシア軍はドンバスを焦土に変えるまで砲撃し続けるつもりだ」と投稿した。

一方、ウクライナ軍によると、南部ザポリージャ州の工場にロシア軍の巡航ミサイル2発が着弾し、少なくとも14人が負傷したという。州政府は粉々になった工場の写真をSNSに投稿している。

ロシア軍の砲撃は東部ハルキウ州の住宅地にも降り注ぎ、同州知事は「ロシア軍は邪魔者をひとり残らず殺し、ハルキウを恐怖に陥れようとしている」と非難した。

米国務省はロシア軍がウクライナ領内から子供や女性を含む100万人以上を強制送還したという告発を厳しく非難している。

ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は13日の声明で、「ロシアは保護すべき市民をウクライナから連れ去った」と非難した。「ロシア当局は拘束した民間人を速やかに開放し、迅速かつ安全に帰国させなければなりません...」

ブリンケン氏によると、子供26万人も含む90万~160万人のウクライナ人が拘束され、ロシア領内に強制連行されたという。その一部は極東に送られたと報告されている。

一部の専門家はロシアの強制送還を「常套手段」と呼び、「チェチェン共和国におけるロシア軍のろ過作戦(民主派弾圧)と似たような作戦が取られている」と指摘している。

プーチン(Vladimir Putin)大統領の「ろ過作戦」はウクライナの家族を分離し、パスポートを没収し、ロシア国籍を取得させ、ロシアのパスポートを発行するなど、南部ヘルソン州やザポリージャ州の一部で始まっている。

一方、ウクライナとロシアの高官は13日、トルコのイスタンブールで数カ月ぶりに会談した。

両国の代表団はトルコと国連関係者とともに、ウクライナ南部の黒海に面するオデーサ州などの封鎖解除と、ウクライナ産穀物の海路輸送再開に向け協議した。

国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は声明で、「両国は人道危機回避に向けた重要な一歩を踏み出した」と述べた。

ウクライナは世界を代表する穀物輸出国だが、ロシア軍に黒海を包囲されたことで、小麦やヒマワリ油の輸出をほぼ停止している。

オデーサ州などのサイロには2000万トン以上の小麦が滞留しているとされる。ロシアは黒海に人道回廊を設置する意向を示しているが、ウクライナは「黒海に設置した機雷を撤去すれば、ロシア軍が海から攻撃を仕掛けてくる」と主張している。

ウクライナのクレバ(Dmytro Kuleba)外相は、「貨物船、物資、ウクライナの安全が保証されない限り、港から穀物を輸出することはできない」としている。

2022年7月13日/トルコ、イスタンブール、国連・ウクライナ・ロシア・トルコの代表団(Turkish Defence Ministry)
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