◎ロシア軍は現在、東部ドネツク州の完全制圧を目指している。
ウクライナ東部ルハンシク州知事は9日、ドンバス地方で繰り広げられている戦いを「真の地獄」と評し、ロシア軍は24時間体制で街を空爆していると報告した。
ロシア軍は現在、ドネツク州の完全制圧を目指している。ウクライナ軍は同州とルハンシク州の州境付近でロシア軍と対峙しているものとみられる。
ルハンスク州のガイダイ(Sergiy Gaiday)知事はテレグラムの投稿で、「ロシア軍は一晩で街を20回以上空爆し、ドネツク州境界付近に押し寄せている」と述べた。
またガイダイ氏は、「ウクライナ軍は州境付近でロシア軍を押しとどめている」とし、同盟国に強力な長距離兵器の供与を改めて求めた。
西側のアナリストも「ロシア軍の部隊再編と再武装にはかなりの時間がかかる」と予想している。
ロシア軍はドネツク州以外の地域へもミサイル攻撃を仕掛けている。
ウクライナのベレシチューク(Iryna Vereshchuk)副首相は9日、ロシア軍の支配下に置かれている南部ヘルソン州とザポリージャ州の住民に避難を求めた。
ベレシチューク氏は南部の戦闘が激化すると警告し、「そこにとどまれば、ロシア軍に人間の盾として利用される可能性がある」と述べた。
ウクライナ公共放送によると、ヘルソン州とザポリージャ州の一部地域では市民の避難が続いているという。両州の住民にベレシチューク氏の警告が届いているかどうかは分からない。ロシア軍は支配地域の通信網も支配しているとみられ、一部地域ではロシア国営テレビが放送されている。
東部ドネツク州のキリレンコ(Pavlo Kyrylenko)知事は9日、テレグラムの投稿で、民間人少なくとも5人が死亡、8人が負傷したと報告した。ロシア軍は同州スラビャンスクへの攻勢を強めているものとみられる。
キリレンコ氏によると、スラビャンスクのインフラはロシア軍の砲撃でボロボロになり、多くの民間人が瓦礫の下敷きになっているという。
東部ドニエプロペトロフスク州知事はミサイルが住宅地を直撃し、クラスター爆弾も使用されたと報告した。同知事は住民に対し、街中で見慣れない物体を見かけたときは近づかないよう呼びかけている。
中部クリヴィー・リフでも民間人2人が死亡、3人が負傷したと伝えられている。
クリヴィー・リフはゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領の生まれ故郷である。同氏は8日に同市を訪問し、現地の部隊と面会した。
東部ハルキウ州ではロケットが住宅地を直撃し、12歳の少女を含む少なくとも6人が負傷した。
ハリコフ州政府によると、着弾したミサイルは核弾頭を搭載可能な地上発射型ミサイル「イスカンデル」の可能性が高いという。
南部ミコライフ州政府は黒海沿岸の町にミサイル6発が着弾したが、死傷者は出なかったと報告している。