◎ロシアは歩兵部隊を休ませるためにミサイル攻撃を多用し、道を切り開こうとしている。
2022年7月11日/ウクライナ、東部ハルキウ州、ミサイルが着弾した集合住宅(Evgeniy Maloletka/AP通信)

ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は11日、ロシア軍の東部ドンバス地方に対する無差別ミサイル攻撃を「テロ」と非難し、週末の攻撃の犠牲者が30人を超えたと報告した。

ゼレンスキー氏はビデオ演説の中で、ドネツク州チャソフヤルの集合住宅に対するミサイル攻撃の死者が31人に増加し、東部ハルキウ州でも民間人6人が死亡したと述べた。

ウクライナ軍によると、ロシア軍は9日遅くにチャソフヤルの5階建て集合住宅を爆撃した。この町には近隣の工場で働く労働者が多く住んでいる。

ロシア国防省は11日、民間人への攻撃を否定し、チャソフヤル周辺でウクライナの戦闘員300人以上を殺害したと主張したが、詳細は明らかにしなかった。

チャソフヤルの消防は瓦礫の中から市民を救助する動画を公開している。

ロシア軍はドンバスを構成する州のひとつであるルハンシク州を制圧し、その南西に位置するドネツク州制圧を目指し、攻勢を強めているとみられる。

西側の専門家によると、ロシアは歩兵部隊を休ませるためにミサイル攻撃を多用し、道を切り開こうとしているという。

ルハンシク州から撤退したウクライナ軍は同州の州境付近でロシア軍と対峙しているものとみられる。ロシア軍はドネツク州スラビャンスクの制圧を目指している。

ウクライナ軍は西側から供与された兵器で侵攻を抑えようとしているが、ロシア軍はゆっくりと領土を広げているように見える。

東部ハルキウ州政府は11日、ロシア軍のロケットがショッピングセンターと住宅地を直撃し、17歳の少年を含む少なくとも6人の死亡を確認したと報告した。

ウクライナ公共放送は検察の発表を引用し、「ロケット弾は付近を走行していた車両を巻き込み、17歳の少年とその父親を含む民間人6人が死亡した」と報じている。

ハルキウ州のシネグボウ(Oleg Synyegubov)知事はテレグラムの投稿で、ショッピングセンターと住宅地への攻撃をテロと糾弾した。

一方、ゼレンスキー氏はオランダのルッテ(Mark Rutte)首相とキーウで会談した。

ルッテ氏は共同記者会見でウクライナに長距離兵器を供与すると表明し、戦争は長引く可能性があると懸念を表明した。

またルッテ氏は、ウクライナへの支援を継続すると約束した。

ゼレンスキー氏はオランダの支援に謝意を示した上で、「ロシアの戦力はウクライナ軍を圧倒的に上回っている」と述べた。「私たちは同盟国の強力な支援を受けていますが、それでもロシア軍が優位であることに変わりはありません...」

ゼレンスキー氏は西側の同盟国とさらなる兵器供与について話し合っていると述べ、より強力な兵器を供与するよう重ねて呼びかけた。

ウクライナ軍に奉仕している外国人部隊の広報担当も11日、テレグラムに「ウクライナの重砲の数はロシア軍のおよそ8分の1であり、敵の火力に押されている」と投稿した。

一部の専門家は、ウクライナ軍は戦争初期に失った南部ヘルソン州やザポリージャ州の奪還準備を進めていると予想しているが、ゼレンスキー氏の演説を聞く限り、ドネツク州やルハンシク州以外の拠点に兵を割く余裕はないように思える。

ベレシチューク(Iryna Vereshchuk)副首相は10日、南部ヘルソン州の住民に緊急避難を呼びかけ、戦闘が近づいていると警告したが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

2022年7月11日/ウクライナ、東部ハルキウ州の住宅街(Evgeniy Maloletka/AP通信)
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