◎ワグナルは民間軍事会社として知られているが、ロシア政府の利益のために行動し、多くの戦争犯罪や人権侵害で告発されている。
ウクライナ政府は15日、東部ドンバスの戦闘でロシアの民間軍事会社「ワグネル」の本部を攻撃したと報告した。
ロシア軍はワグネルの傭兵を前線に送ったとみられるが、傭兵が活動しているという証拠は今のところ確認されていない。
ルハンスク州のガイダイ(Sergiy Gaiday)知事は15日、テレグラムの投稿で「ロシア人ジャーナリストからこの地域に配備されたワグネル本部の位置を入手した」と明らかにした。
ウクライナ公共放送によると、このジャーナリストはウクライナ軍に情報を提供したわけではなく、ワグネルの情報が記された写真を誤ってテレグラムに投稿したという。
このジャーナリストは先週、ワグネルの傭兵と思われる男たちの写真をテレグラムに投稿していた。
この投稿は削除されているが、写真には軍服を着た5人とルハンシク州の街路標識が映っていた。
この5人がワグネルの傭兵かどうかは不明。ガイダイ氏は投稿で、「ロシア人ジャーナリストのおかげで敵の基地本部を攻撃できた」と述べている。
ワグネルは2014年、ウクライナ南部のクリミア半島で暗躍し、ロシアのクリミア併合を支援したと考えられている。
またワグネルはシリア、リビア、マリ、中央アフリカ共和国にも部隊を派遣している。
ロシア政府はワグネルの存在を認めていないが、西側諸国の諜報機関はこのグループを大統領向けのケータリングサービスを運営している「プーチンのシェフ」と呼ばれるプリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏と結び付けている。
EUはロシアの野党指導者ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏の毒殺未遂事件とリビア介入でブリゴジン氏に制裁を科している。
ワグナルは民間軍事会社として知られているが、ロシア政府の利益のために行動し、多くの戦争犯罪や人権侵害で告発されている。
ウクライナの日刊紙「ウクライナ・プラウダ(Ukrainska Pravda)」も親ロシアのジャーナリストが誤ってワグネルの情報をテレグラムに投稿したと報じた。
この男はワグネルの本部を訪問し、写真を撮影したとみられるが、詳細は不明だ。この投稿は削除されたものの、多くのユーザーがコピーを拡散している。
ウクライナ公共放送によると、ワグネルの本部はルハンシク州セベロドネツクの南、現在親ロシア勢力の支配下に置かれている地域にあったという。
別のロシア人ジャーナリストは15日、テレグラムにワグネルの拠点のひとつが攻撃を受けたと投稿し、「ドネツク人民共和国の情報筋に事実であることを確認した」と述べている。
このジャーナリストは「恐らくハイマース(米軍が供与した高軌道ロケット砲システム)だろう」と書いている。
ウクライナ軍は現在、前線のはるか後方からロシア軍の標的を正確に攻撃できるハイマースで戦いを有利に進めているとみられる。
ウクライナのホンチャルク(Oleksiy Goncharuk)元首相は15日、「ワグネルの本部はもうない。ハイマースとウクライナ軍に感謝する」とフェイスブックに投稿した。