◎ロシアはルハンシク州とドネツク州を完全制圧するために、全方向から攻撃を仕掛けていると伝えられている。
2022年5月19日/ウクライナ、東部ルハンシク州セベロドネツク、ウクライナ軍の戦車(Getty Images/AFP通信)

ウクライナ東部ルハンシク州の知事は25日、ロシア軍が同州をまもなく完全制圧するという報道を否定し、主要拠点を防衛する戦いは続いているとした。

同州のガイダイ(Serhiy Haidai)知事は主要メディアの取材に対し、「セベロドネツクは遮断されていない」と述べた。

ロシアはルハンシク州とドネツク州を完全制圧するために、全方向から攻撃を仕掛けていると伝えられている。

セベロドネツクはルハンシク州の中で唯一、ウクライナの管理下に置かれている地域である。

ガイダイ知事によると、セベロドネツクの周辺では激しい戦闘が昼夜を問わず繰り広げられており、そこにつながる道路ロシア軍に占領されれば、街は孤立する可能性があるという。

ガイダイ知事はテレグラムの投稿で「セベロドネツクの南西地域につながるルートが砲撃を受けているが、連邦政府の人道支援はまだ街に届いている」と述べている。

またガイダイ知事は市民約1万5000人が避難所にとどまっていると明らかにし、ロシア軍は民間施設やインフラを容赦なく攻撃していると非難した。「ロシア軍は街を奪うことは難しいと判断し、街を破壊し尽くして私たちを追い出そうとしています」

セベロドネツクで民間人の避難を支援したという米国人ボランティアは英BBCニュースのインタビューの中で、「民間地域への砲撃が絶えない」と述べている。「先日、ボランティアの女性のひとりが被弾しました。彼女は足の下半分を失い、その後死亡しました」

ロシアは2014年に併合したクリミア半島と東部ドンバスのテロ国家(ルガンスクとドネツク)を結ぶ陸上回廊の形成を目指しており、テロ国家の拠点であるルハンシクとドネツク両州を支配下に置きたいと考えている。

西側の諜報機関などによると、ロシア軍は1万以上の兵士を失い、開戦時の勢いを完全に失ったと報告している。

ロシアメディアは軍が厳しい状況にあるという噂や懸念を払しょくするため、プーチン(Vladimir Putin)大統領がモスクワの病院に入院した兵士を見舞う映像を公開した。

プーチン大統領は負傷兵のひとりに、「君のお父さんは君を誇りに思うだろう」と激励した。

ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は東部で難しい戦いを強いられていることを認めている。

一方、ロシア国防省も侵攻速度が落ちていることを認め、長期戦も視野に入れていると示唆した。

ゼレンスキー大統領は欧州諸国に団結を訴え、クレバ(Dmytro Kuleba)外相は「ロシアの貿易を殺すよう」西側に呼び掛けている。

しかし、ハンガリー政府は25日、ロシア産原油の段階的な禁輸を含む対ロシア制裁には応じられないとEUに提言した。

ウクライナ当局によると、ロシアは東部以外へのミサイル攻撃も継続し、南部ザポリージャで少なくとも1人が死亡、60戸以上の民家やショッピングセンターが被害を受けたと報告した。

プーチン大統領は「ロシアは東部だけでなく南部も支配する」という意思表明として、ヘルソン州などの占領地域の市民にロシアのパスポートを交付しやすくする法令に署名した。

ロシアはヘルソン全域、ザポリージャ州の一部を支配下に置いている。

ザポリージャの親ロシア勢力は25日、「この地域は人民共和国ではなくロシアへの編入を目指す」と表明した。

黒海とアゾフ海に面する南部地域が占領されれば、ウクライナは主要貿易拠点を失うことになる。

2022年5月19日/ウクライナ、ドネツク人民共和国(Bernat Armangue/AP通信)
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