◎ロシア軍は東部ドネツク州の完全制圧を目指しているが、その進行速度は目に見えて遅くなり、今ではほとんど前進できていないとみられる。
ウクライナ政府は13日、ロシア軍の砲撃が東部ドネツク州などの一部地域で激化し、同州クラマトルスクで民間人少なくとも3人が死亡、13人が負傷したと報告した。
一方、ウクライナ軍によると、南部の占領地奪還を目指す部隊はヘルソン州のロシア軍補給路として利用されている最後の橋を破壊したという。
クラマトルスクの市長は12日遅くの声明で、「ロシア軍のロケット攻撃により、民間人少なくとも3人が死亡、13人が負傷した」と述べた。
クラマトルスク周辺は東部の最激戦地になっているものとみられる。同市の住宅地には12日にもロケット弾少なくとも11発が撃ち込まれた。
ロシア国防省は13日、ドネツク人民共和国の部隊がドネツク州郊外の村を制圧したと報告した。
ロシア軍と親ロシア勢力はドネツク州の北部と西部のウクライナ管理地を奪おうとしている。しかし、ウクライナ軍は同日、この地域に攻め込んだ敵兵を殺害したと報告した。
ロシア国防省はクラマトルスク付近に配備された高軌道ロケット砲システム「ハイマース」とその弾薬を破壊したと主張したが、事実か否かは不明。
ドネツク州の北西に位置するルハンシク州のガイダイ(Sergiy Gaiday)知事はSNSやメディアのインタビューで、「ウクライナ軍は州境界付近でロシア軍を押し返している」と繰り返し報告している。
ガイダイ氏は13日、テレグラムの投稿で、「敵はルハンシクの境界付近で立ち往生している」と述べ、この1カ月半、東部のウクライナ兵は数千発の砲撃に耐えてきたと報告した。
ロシア軍はドネツク州の完全制圧を目指しているが、その進行速度は目に見えて遅くなり、今ではほとんど前進できていないとみられる。
中部ドニエプロペトロフスク州政府は13日、欧州最大規模のザポリージャ原発のある地域付近への砲撃が増加したと報告した。
同州政府はザポリージャ原発本体やドニエプル川対岸地域のニコポルが砲撃を受けたかどうかは明らかにしなかったが、住宅、送電線、ガスパイプラインが損傷したと説明した。
ロシア軍はニコポルへの攻勢を強めているとみられ、11日の攻撃では民間人少なくとも3人が死亡、アパート40棟が被害を受けた。
ロシアとウクライナは原子力安全規則に反してザポリージャ原発を砲撃したと互いを非難している。ロシアは侵攻開始直後に同原発を含むザポリージャ州の一部を制圧した。
ウクライナ軍は13日、ロシア軍の砲撃で、同原発のポンプ場や消防施設が破壊されたと報告した。また軍報道官によると、ロシア軍は親ロシア勢力と思われる兵士をザポリージャ州郊外に送り込み、ロシア軍の兵器や銃にウクライナの国旗を取り付けたという。
軍報道官はこれを「偽旗作戦」と非難し、原発を速やかに解放するよう改めて呼びかけた。「これはウクライナ軍が攻撃に関与したように見せかける偽旗作戦であり、敵はそれを挑発行為に利用するでしょう...」
ウクライナ政府はロシア軍が原発を盾にして、ドニエプル川対岸の都市を攻撃していると非難している。
ザポリージャ州のウクライナ知事は12日遅く、ロシア軍の砲撃で女性1人が死亡、少なくとも2人が死亡したと報告した。
ウクライナ軍は数週間前から南部ヘルソン州を奪還する準備を進めている。
ウクライナ軍は13日、ヘルソン州内のドニエプル川に架かる最後の橋を破壊し、ロシアの補給ルートに打撃を与えたと報告した。
ロシア軍は2014年に併合したクリミア半島からヘルソン州やザポリージャ州に物資を輸送している。