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▽選挙管理委員会は9日、昨年の大統領選第1ラウンドを首位通過したジョルジェスク氏のやり直し大統領選への立候補を拒否した。
2025年3月10日/ルーマニア、首都ブカレストの憲法裁判所近く、ジェルジェスク氏を支持する人々(AP通信)

ルーマニアの憲法裁判所が11日、やり直し大統領選挙への立候補を目指す極右ジョルジェスク(Calin Georgescu)氏の訴えを退けた。

選挙管理委員会は9日、昨年の大統領選第1ラウンドを首位通過したジョルジェスク氏のやり直し大統領選への立候補を拒否。ジョルジェスク氏は憲法裁に異議を申し立て、この決定を覆すよう求めていた。

現地メディアによると、憲法裁は全会一致で選管の決定を支持。ジョルジェスク氏の訴えを退けたという。

これによると、反EUと反NATOを推進する親ロシア派の夢は断たれた。

憲法裁の近くに集まった数百人の支持者たちはルーマニア国旗を掲げ、「泥棒!」と唱和した。

AP通信によると、ロシアの国旗を掲げる集団も現れ、「ジョルジェスクを大統領に!」と叫んだという。

憲法裁の決定後、ジョルジェスク氏はSNSに動画を投稿。ルーマニアの財政はEUに、防衛はNATOに依存していると批判し、自身の選挙運動は「蔓延する汚職や、私たちが受けている屈辱や不正と闘うものである」と訴えた。

選管は9日の決定について、公職選挙法違反の疑いと、ロシアが無所属で立候補したジョルジェスク氏を宣伝するために組織的なオンラインキャンペーンを行ったとして、結果を取り消した憲法裁の判決を引用した。

また選管は「やり直し選挙について、憲法裁が疑惑を指摘した人物の立候補を認めることはできない」とした。

憲法裁は昨年12月、大統領選第1回投票の結果を無効と判断し、ジョルジェスク氏の決選投票進出に待ったをかけた。

やり直し大統領選までの間、国会議長が大統領代行を務めている。

憲法裁は人工知能(AI)を含むデジタル技術の違法な使用や、未申告の選挙資金が使用されたと指摘。また、ジョルジェスク氏がソーシャルメディア・プラットフォームで「優遇措置」を受け、その結果、有権者の意思表示が歪められたとしている。

また憲法裁は「ロシアの介入が疑われる」と指摘している。

やり直し大統領選は5月4日に予定されている。過半数を獲得する候補が出なかった場合は5月18日の決選投票で勝者を決める。

情報機関はジョルジェスク氏の陣営がティックトック(TikTok)のユーザーに36万1000ユーロの報酬を支払い、ジョルジェスク氏のコンテンツを宣伝させたと主張している。

ジョルジェスク氏は自身の選挙活動費をゼロと公言していた。

捜査当局はジョルジェスク氏が公職選挙法に違反した疑いがあるとみて捜査している。

ジョルジェスク氏は過去にロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領を「国を愛する男」と絶賛し、ウクライナを「敵対国家」と呼んだことがある。

またジョルジェスク氏は1930~40年代にかけてのルーマニアのファシストやナショナリスト指導者たちを国民的英雄と称賛して物議を醸したこともある。

憲法裁の決定は昨年の選挙中止以来、長引く政治危機に見舞われているEUとNATO加盟国の緊張を煽ることになりそうだ。

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