オーストリア首相が銃規制の強化約束、高校での銃乱射事件受け

シュトッカー氏は議会演説で、「武器の入手について、より責任ある規制を導入する必要がある」と語った。
2025年6月11日/オーストリア、南部グラーツ、銃乱射事件が発生した高校前(AP通信)

オーストリアのシュトッカー(Christian Stocker)首相は16日、南部グラーツで同国史上最悪の銃乱射事件が発生したことを受け、銃規制を強化すると約束した。

この事件は10日午前に発生。この高校を中退した21歳の男が校内で銃を乱射し、生徒9人と教師1人を殺害した。

容疑者は発砲後、校内のトイレで自殺した。

この事件はEU加盟国の中でも比較的自由度の高いオーストリアの銃規制について議論を巻き起こした。容疑者は合法的に所有していたショットガンと拳銃を使用した。

シュトッカー氏は議会演説で、「武器の入手について、より責任ある規制を導入する必要がある」と語った。

またシュトッカー氏は「刑法改正案には銃の所有に関するより厳しい資格要件と、特定のリスクグループに対する制限が含まれる」と述べ、捜査当局間のデータのやり取りも改善する必要があると付け加えた。

さらに、「今後は危険と判断された個人の銃の所有を認めず、その確認を自動化し、全ての捜査機関が情報を共有できるようにする」とした。

シュトッカー氏は今週後半に改正案を閣議決定すると述べたが、詳細は明らかにしなかった。

公共放送ORFによると、政府は銃購入の最低年齢の引き上げなどを検討しているという。

グラーツの事件で自殺した容疑者は当日朝、銃が入ったバックパックを持って学校に入り、校内のトイレで射撃用のメガネとヘッドセットを着用。3階の一室で発砲した後、4階に移動し、施錠されたドアを撃ち抜き、室内で発砲した。

容疑者はその後、トイレに移動し、自分の頭を撃ち抜いた。

警察は容疑者の自宅を家宅捜索し、遺書とみられるメモとビデオを発見・押収した。

警察によると、容疑者は4月上旬にグラーツで合法的にショットガンを購入。5月下旬には市内の別の店で拳銃を購入した。

スイス・ジュネーブの国際開発研究大学院によると、オーストリアの民間の銃器保有数は世界第12位にランクされ、市民100人あたり30丁の銃器を保有している。

オーストリアではライフルやショットガンなど、1発ごとに手動で再装填する銃器は18歳から許可なく購入できる。

銃のディーラーは販売する銃器を政府の登録簿に登録したうえで、購入者の身元を確認するだけでよい。

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