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世界が大戦前の秩序に逆戻り、中堅国が直面する課題

中堅国とは経済力や外交力で一定の影響力を持つものの、超大国ほどの力は持たない国家を指す。
トランプ米大統領(Getty Images)

国際社会は第2次世界大戦後に築かれた「ルールに基づく国際秩序」から離脱しつつあり、いわゆる中堅国(ミドルパワー)にはこれまでにない深刻な課題がのしかかっている。この動きは、国際政治の根底にある力のバランスそのものが戦前の水準へと逆戻りする可能性を示唆している。

世界は「第2次大戦前の秩序」に近づきつつあるように見え、特に中堅国が多くの難題に直面している。戦後、国際社会の安定と平和は米国を中心とする主要国が主導する国際機関や条約、経済的相互依存によって支えられてきた。しかし近年、これらの枠組みは大きな変容を迎えている。

カーニー(Mark Carney)首相は今週、世界経済フォーラム(WEF)年次総会で「古い秩序は戻らない」と発言。国際秩序の基盤が揺らいでいる現実を指摘した。戦後の制度は国家間の力関係を抑制し、戦争の再発を防ぐために設計されたが、強権的な国家の台頭や米国の外交戦略の変化は、その破壊力を高めていると分析している。

とりわけトランプ(Donald Trump)大統領は「アメリカ第一主義」を掲げ、国際機関や条約への関与を縮小する姿勢を強めている。米政府の新たな安全保障戦略が、経済制裁や関税、軍事介入を含めたあらゆる手段で他国を自国の利益に従わせる意図を示しており、「大国が勢力圏を再区分する世界」を狙っていることが明らかになっている。こうした戦略は、中堅国に極めて厳しい現実を突きつける。

中堅国とは経済力や外交力で一定の影響力を持つものの、超大国ほどの力は持たない国家を指す。これらの国々は冷戦終結後の多極化した世界秩序のなかで中程度の役割を果たしてきたが、力による政治が再び国際関係の中心になりつつある現在、危機に瀕している。

特にEU諸国やカナダ、オーストラリアなどの中堅国は、国際法や協調外交を重視する伝統を持っているが、強権的な米中の動きに対応するには自らの軍事力や外交戦略の再構築が必要になってきた。彼らは一方で、中国の台頭やロシアのウクライナ侵攻といった地政学的な圧力にも直面し、単独では対抗できない相手と同時に向き合っている。

専門家はこうした状況を踏まえ、「中堅国が単に大国の影に埋没するのではなく、独自の外交的立場を確立し、協調的なアプローチを強化する必要性」を強調している。旧来のルールベースの秩序が後退し、力による政治が復活するなかで、中堅国がどのように影響力を維持し、国際社会の安定に寄与できるかが今後の大きな焦点となる。

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