◎集会を主催した野党指導者は大規模な不服従運動を今週中に開始すると発表した。
2020年9月27日/ナゴルノ・カラバフ、戦闘エリアから避難する住民(Getty Images/AFP通信/EPA通信)

アルメニアの首都エレバンで1日、数千人規模の野党集会が開催された。主催者は政府に、係争地ナゴルノ・カラバフの問題で宿敵アゼルバイジャンに譲歩しないよう警告した。

パシニャン首相は先月、「国際社会はアルメニアに、ナゴルノ・カラバフに関する要求を抑えるよう求めている」と発言し、野党の非難に直面した。

ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの領土とみなされているが、1994年に終結した分離戦争以来、アルメニア政府の支援を受ける分離主義勢力の管理下に置かれ、住民の大半はアルメニア人で構成されていた。

2020年に発生したこの地域をめぐる紛争では両軍合わせて6000人以上が死亡、数千人が負傷したとされる。両国は2020年11月、ロシアの仲介で停戦に合意した。

しかし、ナゴルノ・カラバフの一部地域では3月末頃から小競り合いが発生し、新たな紛争に発展するのではないかという懸念が高まっている。

エレバンの広場に集まった人々は中心部の道路を占領し、交通を遮断した。AP通信によると、一部の参加者はナゴルノ・カラバフと書かれたプラカードを掲げて行進したという。

集会を主催した野党指導者のサガテヤン議員(Ishkhan Saghatelyan)は、「ナゴルノ・カラバフをアゼルバイジャンに引き渡すという首相の発言は受け入れがたい」と支持者に語った。「パシニャンは国民を裏切りました。政府は近い将来、転覆するでしょう...」

サガテヤン議員は大規模な不服従運動を今週中に開始すると発表した。「私は全国民にストライキを開始するよう呼びかけます。エレバンの公共交通機関は停止し、学校は閉鎖されるでしょう」

アルメニアの国家安全保障局は先月末、国内で大規模な暴動が起きる可能性があると警告していた。

アゼルバイジャン政府は2020年の和平協定締結日を「勝利の日」と呼んでいる。一方、アルメニアの野党は協定を「敗北宣言」とみなした。

パシニャン首相はロシアの圧力に屈し、ナゴルノ・カラバフの大部分をアゼルバイジャンに返還した。ロシアは協定締結後、現地に兵士約2000人を配備し、停戦を監視している。

パシニャン首相とアゼルバイジャンのアリエフ大統領は先月、ブリュッセルでEUの仲介による首脳会談を行った。その後、両首脳は外相に、和平交渉の準備作業を開始するよう命じた。

この会談は、3月25日にナゴルノ・カラバフで勃発した衝突を受け行われた。この衝突でアルメニアの支援を受けるナゴルノ・カラバフ軍の兵士3人が死亡した。

アゼルバイジャンは3月、和平を確固たるものにする枠組み案を提出した。その中には領土保全の相互承認、アルメニアにナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの一部であることを認めさせるという文言が含まれていた。

アルメニア外相はアゼルバイジャンの提案について、「ナゴルノ・カラバフの領土問題はアルメニア政府の問題ではなく、地元のアルメニア系住民の問題だ」と発言し、論争を巻き起こした。

ナゴルノ・カラバフのアルメニア人分離主義者は1991年のソ連崩壊時にアゼルバイジャンから分離独立した。それ以来、紛争は今もなお続き、約3万人が命を落としている。

2022年5月1日/アルメニア、首都エレバンで開催された野党集会(Karen Minasyan/AFP通信)
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