◎デモを主催したアルメニア使徒教会の聖職者たちは係争地ナゴルノカラバフを守るよう求めている。
アルメニアの首都エレバンで26日、パシニャン(Nikol Pashinyan)首相に辞任を求める野党集会が行われ、数万人が参加した。
デモ隊は係争地ナゴルノカラバフの国境の集落をアゼルバイジャンに引き渡すことに合意したパシニャン政権を「売国奴」と呼んだ。
デモを主催したアルメニア使徒教会の聖職者たちはナゴルノカラバフを守るよう求め、数週間前から抗議デモを続けている。
政府は先月、同地域の4つの集落の支配権をアゼルに譲ることに合意した。
聖職者たちはこの決定後、「祖国を守る会」という運動を立ち上げ、アゼルの要求に屈しないよう求めてきた。
聖職者たちは26日の集会でもこの要求を繰り返し、パシニャン氏に解散総選挙で「勝負」するよう促した。
ナゴルノカラバフは国際的にはアゼルの領土とみなされているが、1994年に終結した分離戦争以来、アルメニア政府の支援を受ける反政府勢力の支配下に置かれ、住民の大半はアルメニア人で構成されていた。
アゼル政府は昨年9月、アルメニアの破壊工作員が仕掛けた地雷により兵士と民間人が死亡したことを受け、ナゴルノカラバフへの「対テロ作戦」を開始。アゼル軍の集中砲火を受けたナゴルノカラバフの反政府勢力はまもなく降伏し、アゼル政府の要求を全面的に受け入れた。
アゼル軍の勝利により、30年にわたるアルメニア人支配に終止符が打たれ、市民約12万人がアルメニアに逃れた。
アゼルは2020年の紛争でもアルメニアから領土の一部を奪還していた。
パシニャン氏は新たな敵対行為を避けるため、アゼルとの国境を速やかに確立する必要があると国民に繰り返し呼びかけてきた。