◎アルメニアは昨年9月末に本格化したナゴルノ・カラバフをめぐるアゼルバイジャンとの紛争で屈辱的な敗北を喫し、ニコル・パシニャン首相は野党と一部の市民に辞職を求められていた。
3月28日、ナゴルノ・カラバフの和平協定問題で困難に直面しているアルメニアのニコル・パシニャン首相は、6月の早期議会選挙に伴い4月に辞任すると発表した。
アルメニアは昨年9月末に本格化したナゴルノ・カラバフをめぐるアゼルバイジャンとの紛争で屈辱的な敗北を喫し、パシニャン首相は野党と一部の市民に辞職を求められていた。
ナゴルノ・カラバフは公式にはアゼルバイジャンの領土だが、1994年の紛争終結以来、アルメニア民族軍の支配下に置かれていた。
アゼルバイジャンはロシアが仲介した11月の和平協定でナゴルノ・カラバフの主要都市を取り戻したが、そこで生活していたアルメニア人は土地を追われ、涙を流した。それ以来、野党と支持者たちは数万人規模の抗議集会を首都エレバンなどで開催している。
パシニャン首相は声明の中で、「4月に辞任し、早期議会選挙を行います」と述べた。「私は辞任しますが、公正な議会選挙で勝利し、再度首相を務めると誓約します」
パシニャン首相の支持率は屈辱的な敗北にもかかわらず野党を大きく上回っており、数千人の支持者が政府の決定を擁護する集会を各地で開催している。
パシニャン首相は和平協定について、「合意しなければ、ナゴルノ・カラバフ全土をアゼルバイジャン軍に占領されていた」と主張し、他に打つ手はなかったと自分の決断を擁護した。
一方、野党は「ロシアの仲介に反対するつもりはない」と強調したうえで、アゼルバイジャンと交渉し、ナゴルノ・カラバフの主権を取り戻すと主張している。
しかし、大多数の市民は首相が誰になろうとロシアのウラジーミル・プーチン大統領が仲介した和平協定を覆すことは極めて難しいと信じている。