◎アルメニアのニコル・パシニャン首相は、先日ナゴルノ・カラバフ周辺で発生したアゼルバイジャン軍との衝突を受け、両国の国防省間を結ぶ緊急ホットラインの開設に合意した。
11月23日、アルメニアのニコル・パシニャン首相は、先日ナゴルノ・カラバフ周辺で発生したアゼルバイジャン軍との衝突を受け、両国の国防省間を結ぶ緊急ホットラインの開設に合意したと発表した。
パシニャン首相はオンライン会見のなかで、「両国を結ぶホットラインは地域の安定、問題解決に向けた協議、そして新たな危機を回避する」と述べた。
またパシニャン首相は、11月16日の衝突でアルメニア兵6人が死亡し、32人がアゼルバイジャン軍の捕虜になったと明らかにした。アゼルバイジャン軍は兵士7人が死亡したと主張している。
アゼルバイジャンは昨年11月8日、ナゴルノ・カラバフ(アルツァフ共和国とも呼ばれている)の主要都市シュシャをアルメニア政府の支援を受ける分離主義勢力から奪取した。その2日後、アルメニアはロシアが提案した和平協定を受け入れ、6,600人以上が死亡した6週間の紛争は終結した。
ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの領土と見なされているが、1994年に終結した分離戦争以来、アルメニア政府の支援を受ける分離主義勢力の管理下に置かれ、住民の大半はアルメニア人で構成されていた。
ロシアは和平協定を監視するためにナゴルノ・カラバフに兵士約2,000人を派遣し、アゼルバイジャンの同盟国であるトルコも支援を提供している。
アゼルバイジャンは和平協定を「勝利」と祝ったが、一部のアルメニア人はそれを「敗北宣言」と呼び、パシニャン首相に辞任を求めた。しかし、アルメニア人の大多数はトルコの支援を受けるアゼルバイジャン軍に勝てる可能性はゼロに近いことを理解しており、今年の総選挙でパシニャン首相を支持した。
和平協定にはアゼルバイジャンとナゴルノ・カラバフ間にアルメニアを経由する幹線道路を設置するという文言が含まれており、協定に反対する一部のアルメニア人を激怒させた。幹線道路は両国の新たな国境として認識される可能性が高く、アゼルバイジャンは地域の支配を確立できるが、アルメニアはさらに領土を失う可能性がある。
現地メディアによると、野党の支持者約2,000人が23日に首都エレバンで抗議デモを行い、境界に関する新たな協定に署名する前に、協定内容を公開するようパシニャン首相に求めた。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は26日にパシニャン首相とアゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領をソチの黒海リゾートに招き会談する予定。
パシニャン首相とアリエフ大統領は12月15日にEUが主催する別の会議でも協議する予定と伝えられている。