◎メルケル氏はドイツ公共放送連盟の取材に応じた。
ドイツのメルケル(Angela Merkel)前首相は7日、退任後初となるインタビューでロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領に対する自身の政策を擁護した。
メルケル氏は2014年にロシアがクリミア半島を併合した際の自身の対応について、「謝ることは何もない」と語った。
また、ウクライナのNATO加盟に反対したことも擁護した。
メルケル氏はクリミア併合後もプーチン氏と比較的良好な関係を維持し、ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の建設を後押しするなど、ロシアとの経済関係を重視したと非難されている。
後任のショルツ(Olaf Scholz)首相はロシアとの関係を完全に見直し、運用開始間近だったノルドストリーム2の審査も無期限停止とした。
欧州最大の工業国であるドイツは国際社会からロシア産エネルギーの購入量を減らし、欧州のリーダーとしてより厳しい制裁を科し、ウクライナへの兵器供与を加速するよう圧力をかけられている。
メルケル氏はショルツ政権の対ロシア制裁を擁護したうえで、「欧州とロシアは互いに無視できない隣人である」と語った。「欧州とロシアは互いに無視できない隣人であり、相違はあっても共存する道を探さなければなりません」
またメルケル氏は、「ロシアによる侵略は受け入れがたく、大きな過ちだった」と述べた。「もし私たちが何世紀も前に戻って、どの領土が誰のものであるかを議論し始めたら、戦争が起こるだけでしょう。そんな選択肢はありません」
メルケル氏はクリミア併合時の対ロシア制裁と、ドンバス戦争を終結させるためのミンスク和平交渉と曖昧なミンスク協定(Minsk II)を擁護した。主要メディアはこの協定を「死産」と痛烈に批判している。
ドンバス地方では協定締結後も小規模な戦闘が続き、分離主義国家であるルガンスク人民共和国とドネツク人民共和国は幅広い自治権を認める特別な地位を与えられた。
メルケル氏は協定のおかげでウクライナは国家として発展し、軍事力を強化する時間を得ることができたと主張した。「努力が足りなかったと自分を責める必要はありません。あれは間違っていた と言う必要はないと思うし、謝ることは何もないのです」
またメルケル氏は2008年にウクライナのNATO加盟に反対したことについて、「ロシアとのエスカレーションを避けたいと思い、ウクライナ自身の準備もできていなかった」と説明した。「当時のウクライナは、今私たちが知っているウクライナとは全く違いました。国は安定せず、汚職にまみれていたのです」
ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領はNATO加盟を求めていたが、西側はロシアとの全面戦争を恐れ、その話題はほとんど報じられなくなった。
メルケル氏はゼレンスキー氏に「最高の敬意を表する」と述べ、ウクライナ人が「勇気と情熱」を持って自国のために戦っている姿に感銘を受けたと語った。