◎ロシアの野党指導者アレクセイ・ナワルニー氏は昨年8月20日、シベリア発モスクワ行きの航空機内で倒れた。
8月20日、アメリカとイギリスは1年前に発生したロシアの野党指導者アレクセイ・ナワルニー氏の毒殺未遂事件に関連して、ロシアの当局者に新たな制裁を科した。
ウラジーミル・プーチン大統領の最も著名な批評家であるナワルニー氏は昨年8月20日、ロシアのエージェントにソビエト製の猛毒「ノヴィチョク」を塗布され、半死半生状態に陥った。ロシアは攻撃への関与を否定しているが、西側諸国とナワルニー氏はプーチン大統領の暗殺指令を厳しく非難した。
イギリス外務省は制裁について、「攻撃の計画または実行に直接関与した者を対象にしている」と述べた。対象はロシア連邦保安庁(FSB)の当局者7人。アメリカはFSB当局者9人とロシアの研究所に制裁を科した。
ドミニク・ラープ英外相は記者団に対し、「化学兵器の使用は国際法に違反している」と強調した。「透明性のある捜査を行わなければなりません。イギリスはロシアにノヴィチョクを保有していると宣言するよう要請します...」
ノヴィチョクはソビエト連邦が冷戦中に開発した神経ガスの一種であり、それに触れた者の筋肉は麻痺し、窒息死する可能性がある。
ナワルニー氏は昨年、シベリア発モスクワ行きの航空機内で倒れた。その後、ナワルニー氏はドイツの首都ベルリンの病院に搬送され、集中治療室で24日間過ごし、九死に一生を得た。
1月17日、ナワルニー氏はモスクワの空港に到着した直後に逮捕された。ナワルニー氏の支持者たちは逮捕に強く抗議し、全土で大規模な抗議デモを行ったが、治安当局はこれを力で制圧し、数千人を逮捕した。
モスクワの裁判所は、ナワルニー氏は2014年の横領事件で執行猶予付きの有罪判決を受けたにもかかわらず国外に逃亡したと批判したが、ナワルニー氏は横領事件への関与を否定し、被害者とされる企業も詐欺に遭った覚えはないと主張している。
ナワルニー氏は現在、ロシアで最も厳格な刑務所のひとつに収容されている。
米英は20日の共同声明で、ロシア当局のナワルニー氏に対する攻撃をあらためて非難した。「アメリカとイギリスは、ナワルニー氏への攻撃に直接責任を負っている個人に制裁を科しました。2018年3月の事件と同じく、化学兵器を使用した者には説明責任があり、免責はないと約束します...」
2018年3月4日、イギリスに亡命したロシアの情報機関職員セルゲイ・ヴィクトロヴィチ・スクリパリ氏と娘のユリア氏は、ソールズベリーのショッピングモール近くで倒れ、緊急搬送された。2人にノヴィチョクを塗布したエージェントは捕まっていない。
一方、20日にモスクワを訪問したドイツのアンゲラ・メルケル首相はプーチン大統領との首脳会談の中で、ナワルニー氏を解放するようあらためて要求した。
メルケル首相は会談後の演説で、「西側とロシアの関係は非常に憂鬱」と述べた。「欧州人権裁判所はナワルニー氏の有罪判決を違法と見なしています。ナワルニー氏の収監は認められず、私はプーチン大統領にあらためてナワルニー氏の釈放を要求しました...」