◎アレクセイ・ナワルニー氏は重度の腰痛と脚のしびれを訴え刑務所当局に薬の処方と治療を依頼したが申し出を却下されたため、3月31日からハンガーストライキを行っていた。
現地メディアによると、刑務所に収監されているロシアの野党党首、アレクセイ・ナワルニー氏は、ハンガーストライキの終了を宣言したという。
ナワルニー氏は重度の腰痛と脚のしびれを訴え刑務所当局に薬の処方と治療を依頼したが申し出を却下されたため、3月31日からハンガーストライキを行っていた。
ナワルニー氏の弁護士が声明を発表する数時間前、同氏のかかりつけの医師は、「命と健康を守るために、食事を食べてほしい」と訴えていた。
弁護士によると、ナワルニー氏は刑務所が派遣した医師の診察を2度受けたという。「ナワルニー氏は全国で展開されている抗議活動と支持者の願いを受け入れ、ハンガーストライキの中止を決断しました」
ナワルニー氏はインスタグラムに投稿した声明の中で、「食事の再開は段階的に行われる」と述べた。
ナワルニー氏の医師と支持団体は先週、「ナワルニーは数日以内に死亡する可能性がある」と警告していた。4月22日にはさらに体調が悪化し、いつ心不全を起こしてもおかしくないと伝えられていた。
ウラジーミル・プーチン大統領の独裁体制に異議を唱え続けてきたナワルニー氏は、昨年8月にソビエト産神経ガス「ノヴィチョク」をロシアのエージェントに塗布され倒れたが、ドイツの病院で治療を受け、九死に一生を得た。
ノヴィチョクはイギリスのMI6にロシアの機密情報を提供していた元スパイの暗殺未遂事件にも使用された。なお、ロシア連邦保安庁(FSB)は関与を否定している。
今年1月、ナワルニー氏はベルリンから帰国した直後に逮捕された。FSBはここでも事件への関与を否定したが、ナワルニー氏と支援団体は昨年12月、ノヴィチョクが当局の指示で塗布されたことをFSBのエージェントから聞き出している。
元KGBのプーチン大統領に暗殺されかけたナワルニー氏は昏睡状態でドイツに搬送されたにもかからず、秘密裁判所の判事に執行猶予期間中の条件に違反したと裁定され、強制収容所行きを宣告された。欧州人権裁判所はこの判決を却下し、ナワルニー氏の解放を命じたが、ロシアは要求を爆破している。
ナワルニー氏は2014年の横領事件で執行猶予付きの有罪判決を受けた。しかし、同氏は事件への関与を完全否定し、横領の被害者とされる企業も「詐欺被害にあったことは一度もなく、ナワルニー氏は存在しない事件で有罪判決を受けた」と秘密裁判所の判決を非難した。
地元メディアによると、ナワルニー氏の支持者と団体は4月21日に全国各地で抗議活動を行い、治安当局の厳しい取り締まりに直面したという。国内の逮捕者を追跡している人権団体は、1日で1,700人以上が逮捕され、一部は屈強な治安部隊に警棒で激しく殴打されたと報告した。