◎ロシアは著名な野党指導者のアレクセイ・ナワルニー氏の逮捕に抗議した西側諸国の要求を嘲笑した。
◎ナワルニー氏はドイツから帰国した直後に逮捕された。
2021年1月17日 EPA/ロシア、首都モスクワのシェレメーチエヴォ国際空港、アレクセイ・ナワルニー氏

1月19日、ロシアは著名な野党指導者のアレクセイ・ナワルニー氏の逮捕に抗議した西側諸国の要求を嘲笑した。

ナワルニー氏は17日にドイツから帰国した直後に逮捕された。

クレムリンのドミトリー・ベスコフ報道官は記者団に対し、「ナワルニーの逮捕は国内の問題であり、他国の要求が考慮されることは一切ない」と述べた。

ドミトリー・ベスコフ報道官:
「私たちは、ロシアの法律に基づき行動している。彼は法を犯した。そして、これは国内の問題であり、他国は干渉を許可されず、声明が考慮されることもない」

逮捕されたナワルニー氏は、モスクワのヒムキ警察署に30日間拘留されることが決まった。

ヒムキ警察署の前に集まった支持者たちは、「プーチンは辞任しろ」「ロシアは世界に恥をさらした」「市民は民主主義を望んでいる」などと叫んだ。

クレムリンはナワルニー氏が執行猶予期間中に国外逃亡したと主張し、逮捕に踏み切った。なお、ナワルニーは告発された2014年の詐欺事件を「プーチンの陰謀」と却下し、詐欺の被害にあったとされる企業も「詐欺などなかった」と当局の逮捕を非難している

ナワルニー氏はその後もウラジーミル・プーチン大統領の独裁政権を非難し続けたが、昨年8月に猛毒の神経ガス「ノヴィチョク」を投与され、半死半生状態に陥った。

クレムリンは毒薬攻撃への関与を否定したが、独立した諜報集団のベリングキャット、インサイダー、CNNニュース、デア・シュピーゲルのチームの調査で、当局者の関与が裏付けられている。

ペスコフ報道官はヒムキ警察署周辺での抗議活動について、「違法な集会が開催されれば、クレムリンは断固たる措置を取るだろう」と警告した。

2021年1月18日 ロイター通信/ロシア、首都モスクワのヒムキ警察署前

一方、ナワルニー氏の活動を支援する団体は、「プーチンの宮殿」と呼ばれる巨大施設の動画をYouTubeに公開し、当局を挑発した。

ナワルニー氏は逮捕前に制作したビデオの中で、「プーチンの宮殿の広さは、モナコの国土の39倍に達する」と述べている。

・モナコの面積 2.02㎢(東京ドーム43個分)
・プーチンの宮殿 79㎢(東京ドーム1,690個分)

ナワルニー氏のチームによると、ドローンによる航空測量で宮殿の詳細な間取り図を作成し、写真も多数撮影したという。

チームはビデオの中で、「ロシアの治安部隊が守っている宮殿には、カジノ、劇場、アイススケートリンク、邸宅から海岸をつなぐ巨大地下道などが整備されていた」と述べた。

チームによると、宮殿の整備費用は1​​3億5,000万ドル(1,400億円)ほどだという。なお、資金提供者はロシアの石油大手ロスネフチのイゴール・セチン氏や、億万長者のゲンナジー・ティムチェンコ氏を含むプーチン大統領の友人たちと伝えられている。

ペスコフ報道官は記者から「宮殿の整備費用は本当か?」と質問され、「真実ではない。当局は国家の安全保障に関わる情報を公開した者たちを拘束するだろう」と述べた。

アメリカとEUはナワルニー氏の即時釈放を要求しているが、制裁などについては言及していない。

マイク・ポンペオ米国務長官は声明で、「当局は反対勢力を力で押さえつけようとしている」と非難した。

ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、欧州委員会も即時の釈放を求めている。

2021年1月17日 EPA/アレクセイ・ナワルニー氏と妻のユリア氏

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