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2023ギリシャ鉄道事故の裁判始まる、学生ら57人死亡


事故は2023年2月28日に発生、首都アテネ発テッサロニキ行きの旅客列車が貨物列車と正面衝突した。
2026年3月23日/ギリシャ、テッサロニキの裁判所、鉄道事故の遺族(AP通信)

ギリシャで2023年に発生した列車衝突事故をめぐり、約3年の歳月を経て刑事裁判が23日、中部ラリサで始まった。これは多数の大学生を含む57人が死亡した同国史上最悪の鉄道事故であり、遺族や市民の間で長く続いてきた悲しみと怒りが改めて表面化している。

事故は2023年2月28日に発生、首都アテネ発テッサロニキ行きの旅客列車が貨物列車と正面衝突した。誤った線路への進入により両列車が同一線路上で衝突し、激しい爆発と火災が起き、多くの乗客が車内に閉じ込められたまま死亡した。犠牲者の多くは休暇から戻る途中の学生であった。

捜査当局は駅係員による進路設定ミスに加え、信号システムの不具合や安全設備の未整備、慢性的な人員不足など、複合的な要因が事故を引き起こしたとみている。長年にわたり鉄道インフラの近代化が遅れていたことも背景にあるとされ、単なる人的ミスにとどまらない構造的問題が指摘されてきた。

今回の裁判では、当時勤務していた駅長や監督者、運輸省関係者、鉄道会社ヘレニック・トレインの幹部ら計36人が被告となり、公共交通の安全を危険にさらした罪などで責任を問われる。審理には数百人規模の証人が関与するとみられ、審理期間は2年以上に及ぶ見通しである。大規模な事件であることから、法廷は大学施設を改装した会場が使用されている。

初日の法廷周辺には多数の遺族や市民が集まり、写真を手に犠牲者を悼みながら、責任の明確化と厳罰を求めた。「子どもたちは戻らないが、せめて責任者には相応の罰を」という声が上がり、捜査の遅れに対する不満も噴出した。

一方で、中央政府や政治家の責任が十分に問われていないとの批判も根強い。今回の起訴対象には現職の政治家が含まれておらず、事故をめぐる政治的責任の所在については別途調査が進められている。事故後、国内では大規模な抗議デモやストライキが繰り返され、鉄道の安全性と行政の説明責任が大きな争点となってきた。

この事故はギリシャ社会に深い傷を残した象徴的な出来事である。遺族らは独自に証拠収集を行うなど、真相解明を求める活動を続けてきた。今回の裁判は、そうした長年の訴えに応える重要な節目と位置付けられているが、判決に至るまでには長い時間がかかる見込みである。

悲劇から3年を経てもなお癒えない遺族の悲しみと社会の不信感は、裁判の行方に大きな関心を集めている。真の責任がどこにあるのか、そして再発防止につながるのかが、今後の最大の焦点となる。

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