◎イエメンのシーア派武装勢力フーシが西部マッカ州ジッダの石油備蓄基地を攻撃した。
サウジアラビアの国営メディアは25日、イエメンのシーア派武装勢力フーシが西部マッカ州ジッダの石油備蓄基地を攻撃したと報じた。
ジッダでは3月28日にF1サウジアラビアグランプリが開催される予定である。サウジ当局は予定通りレースを開催すると約束した。
メディアによると、フーシ派はここ数日、ジッダの石油備蓄基地などに対する攻撃を繰り返してきたという。
基地の管理者である世界最大のエネルギー会社サウジアラムコは今のところ声明を発表していない。サウジ当局はフーシ派が基地を攻撃したことを認めたが、攻撃に使用された兵器には触れなかった。
サウジアラビアが主導する連合軍は2014年からイエメンの大部分を支配するフーシ派と戦っている。イエメン内戦は近代史上最悪の人道危機を引き起こし、国連のまとめによると、戦闘で死亡した兵士および民間人は15万人を超え、1,000万~2,000万人が国内避難民になり、1,100万人以上の子供が人道支援を必要としている。
サウジ連合軍の報道官は25日、備蓄基地の火災で戦車2台が損傷したが、負傷者は出なかったと述べた。
国営メディアの取材に応じたサウジ当局者は、「フーシ派はエネルギー安全保障と世界経済に打撃を与えるために備蓄基地を狙っている」と述べている。
イギリスのジョンソン首相は、ツイッターでフーシ派の攻撃を非難した。「これらの攻撃は市民の命を危険にさらすものであり、止めなければなりません」
AP通信によると、ジッダのF1サーキットで取材中、現地時間午後5時40分過ぎに東の遠方で煙が上がるのを確認したという。その後、備蓄基地のタンク周辺から炎が上がり、数分後には目視で確認できるようになった。
ドライバーたちは予定通り練習走行を終えたと伝えられている。
当局はサウジGPの開催を約束したが、フーシ派の攻撃が増加していることを懸念する声も上がっていた。
フーシ派が運営する衛星ニュースチャンネル「アル・マシラ」は同日、ジッダのサウジアラムコ施設と首都リヤドの複数の施設を攻撃したと主張した。
サウジの国営メディアは、首都近郊の町で貯水タンクが攻撃を受け、車両や家屋に被害が出たことを認めている。また、南西部のイエメン国境に近い地域の変電所が攻撃を受けたと報じた。
北ジッダ石油備蓄基地は第二の都市ジッダで使用するディーゼル、ガソリン、ジェット燃料を貯蔵している。備蓄量はサウジの全供給量の4分の1以上を占め、地域の海水淡水化プラントの運営に不可欠な燃料も供給している。
フーシ派はこれまでに2度、北ジッダ基地を巡航ミサイルで攻撃している。最初の攻撃は2020年11月、2回目は先週。フーシ派はイランなどから兵器を購入している。
イエメン内戦を検証する国連専門家委員会が公表した報告書によると、2020年の攻撃で標的になったタンクの容量は50万バレルで、ディーゼル燃料が保管されていた。
巡航ミサイルや自爆ドローン攻撃を防ぐのは難しいが、米国は最近、サウジに対ミサイル迎撃用パトリオットを送っている。
米国はイエメン内戦への兵器供与を停止しており、昨年9月、リヤド郊外のプリンス・スルタン空軍基地からパトリオットと終末高高度防衛(THAAD)ミサイルシステムを撤去したと伝えられている。