◎イエメン内戦は近代史上最悪と呼ばれる人道危機を引き起こし、子供を含む1000万~2000万人が飢餓に直面している。
イエメン、首都サナア、シーア派武装勢力フーシの戦闘員(Getty Images)

国連は2日、イエメン内戦の戦争当事者が休戦協定を2ヶ月延長することに合意したと発表した。

グルンドバーグ(Hans Grundberg)国連イエメン担当特使は声明で、「イエメン政府とフーシ派が休戦の延長に合意した」と述べた。

またグルンドバーグ氏は当事者が「停戦に向けた交渉を進めることも約束した」と明らかにした。

ロイター通信は政府筋の話を引用し、「特使は6カ月間の休戦延長を提案したが、双方は既存の休戦協定に不満を抱いており、いつ破綻してもおかしくない」と報じている。

米国とオマーン当局は、先月バイデン(Joe Biden)米大統領がサウジを訪問した際、「(サウジ政府と)休戦の深化と延長に合意した」と発表したことを受け、グルンドバーグ氏の提案を支持するよう当事者に働きかけていた。

オマーンの代表団は2日、イエメンの首都サヌアでシーア派武装勢力「フーシ」の首席交渉官との3日間の協議を終えた。

フーシ派の報道官はこの協議について、「サウジ主導の連合軍が提案した休戦に焦点を当てた」とツイートしている。

イエメン内戦は近代史上最悪と呼ばれる人道危機を引き起こし、この8年で少なくとも16万人が死亡。子供を含む1000万~2000万人が飢餓に直面している。

サウジ主導の連合軍はフーシ派の拠点を攻めつつ首都サヌアなどにミサイルを撃ちこみ、インフラを破壊し尽くした。しかし、絶え間ない空爆と地上戦にもかかわらず戦闘は膠着状態に陥り、人道危機を引き起こしたのである。

休戦は4月2日に発効し、6月2日に延長された。しかし双方は協定に違反したと非難し合っている。

米国のブリンケン(Antony Blinken)国務長官は国連の承認を受けるイエメン政府の国防相と会談し、休戦の延長を迫った。

ブリンケン氏は2日の声明で、「休戦はここ数年で最大のチャンスであり、逃してはならない」と述べた。バイデン政権はイエメン内戦の停戦実現を公約のひとつに掲げている。

イエメンの人口3000万人の3分の2以上が人道支援を必要としており、国連は先月、「イエメンは世界最悪の飢餓の瀬戸際に追い込まれている」と声明を発表した。

フーシ派が支配するサヌアの国際空港は休戦協定に基づき、ヨルダンやエジプト行きの商業便を再開し、同じくフーシ派の支配下に置かれている西部ホデイダの港には石油タンカーの寄港が認められた。

人道機関は休戦延長を歓迎している。

国際NGOオックスファム・インターナショナルの広報担当は、「何百万ものイエメン人が食料価格の高騰、医療やその他の基本サービスの欠如、経済機会の減少に苦しめられている」とウェブサイトに投稿した。「今こそ、すべての当事者と国際社会はイエメンの生活、尊厳、自由を保証する永続的かつ包括的な和平に向けて努力しなければなりません...」

イエメンで活動する30の援助機関は1日に発表した共同声明で、「休戦協定が発効された4月2日以降の民間人犠牲者は大幅に減少した」と述べた。

また援助機関はすべての戦争当事者に民間人を保護する取り組みを遵守し、必要に応じて拡大するよう呼びかけた。

2020年2月/イエメン、首都サナアの医療機関(Getty Images/AFP通信/EPA通信)
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