イエメンのアルカイダ系組織、トランプ氏とマスク氏を脅迫
AQAPは国際テロ組織アルカイダの中で最も危険な派閥のひとつとされ、イエメン内戦を利用して勢力を拡大。その存在を確固たるものにした。
とイーロン・マスク氏(AP通信).jpg)
イエメンのアルカイダ系組織である「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」がトランプ(Donald Trump)米大統領と大富豪のマスク(Elon Musk)氏を標的リストに加えた。
AQAPの指導者とされるアウラキ(Saad bin Atef al-Awlaki)師はオンラインで公開した30分間のビデオメッセージでイスラエルによるガザ侵攻を非難。米国がイスラエルを支援していることを受け、トランプ氏とマスク氏を殺害リストに加えたと述べた。
またアウラキ師は「今ガザで起きていることを考えると、レッドラインなどない」と強調。米国と戦う用意があると示唆した。
AQAPは国際テロ組織アルカイダの中で最も危険な派閥のひとつとされ、イエメン内戦を利用して勢力を拡大。その存在を確固たるものにした。
専門家によると、AQAPはイエメンのいくつかの地域で活動し、他のアラビア諸国の過激派と連携してカリフ制国家の建国を目指している。
AQAPとイエメンの大部分を支配する親イラン武装組織フーシ派は全く別の組織である。
アウラキ師は各地で活動する戦闘員などに向けて、エジプト、ヨルダン、その他湾岸諸国の指導者も暗殺するよう促した。
AQAPが公開した映像にはトランプ氏、マスク氏、バンス(JD Vance)副大統領やルビオ(Maro Rubio)国務長官などの顔写真が映っていた。
フーシ派は23年10月にガザ紛争が始まって以来、イスラエル領内だけでなく、紅海やアデン湾の船舶を数百回攻撃してきた。
この間、フーシ派は2隻の船舶を沈没させ、1隻をシージャックし、少なくとも4人の船員を殺害した。この攻撃は世界の海運を混乱させ、多くの企業がアフリカ南部喜望峰を周回する、より長く、より費用がかかる航路への変更を余儀なくされた。
フーシ派はイスラエル軍がガザ地区への攻撃を再開したことを受け、紅海やアラビア海、アデン湾などを通過するイスラエル船舶への攻撃を再開すると主張。トランプ米政権はこれを受け、フーシ派に対する軍事作戦を開始した。
米中央軍(CENTCOM)は3月15日にフーシ派への攻撃を開始。首都サヌアやホデイダなどを1000回以上空爆した。フーシ派は一連の空爆で300人近くが死亡したと報告している。
4月18日の空爆では少なくとも74人が死亡、171人が負傷したとされる。
トランプ政権は先月初め、フーシ派への空爆を停止した。