イエメン空爆が示すサウジアラビアとUAEの深刻な不信感
サウジとUAEはイエメン内戦で長年にわたって連携してきたが、近年その協力関係は緊張し始めている。
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12月30日、イエメンでの軍事的な対立がサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)間の深刻な不信感を浮き彫りにした。サウジ主導の連合軍がイエメンへの空爆を実施し、UAEとの間で溝が表面化している。この攻撃はサウジとUAEの関係がかつてないほど悪化していることを示しており、両国の中東における影響力を巡る競争が影響している。
サウジとUAEはイエメン内戦で長年にわたって連携してきたが、近年その協力関係は緊張し始めている。サウジは同国の大部分を支配するフーシ派による反乱を鎮圧するために積極的に介入しており、UAEもまた一部の武装組織と提携して反フーシ派を支援している。しかし、両国のアプローチには大きな違いがあり、特にフーシ派への対応や地域戦略において食い違いが目立つ。
UAEはサウジ主導の連合に参加しつつも、独自の軍事的な利益を追求し、イエメン南部で独自の勢力圏を築こうとしている。これに対し、サウジはイエメン全土の安定を確保し、フーシ派に対する圧力を維持しようとしている。この対立は両国の戦略的な目標の相違から生じており、互いに対する信頼を損なわせている。
この不信感はUAEがサウジ主導の軍事作戦を一部無視したか、あるいは同意していないという見方が強い。この攻撃により、UAEがサウジとの協力関係に限界を感じていることが明らかとなり、両国の外交的な溝はさらに広がった。
さらに、サウジとUAEはイエメンでの軍事行動における資金援助や兵力の配置を巡っても意見が分かれており、これが両国の不信感を助長している。UAEは内戦の長期化に懸念を抱いており、サウジに対して戦争を終結させるための具体的な成果を求めている。一方で、サウジは内戦を自国の安全保障の問題として捉えており、フーシ派の勢力拡大を防ぐことを最優先事項としている。
この対立はイエメンにおける停戦や和平の進展を難しくしており、中東地域の安定にも悪影響を及ぼしている。サウジとUAEの対立が続けば、両国の軍事的介入が長引き、イエメンの人道的危機は一層深刻化する恐れがある。
両国間の溝が広がる中、国際社会からは両国に対して協力と対話を促すべきだという声が強まっている。中東における戦略的競争が続く限り、イエメンの安定を実現するための道は険しいままである。
