イエメン南部暫定評議会、独立の是非問う国民投票実施へ、地域の緊張高まる
STCは今後2年以内に独立の是非を問う国民投票の実施を目指す方針を打ち出し、同国の分裂的な政治状況をさらに複雑化させた。
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内戦が続くイエメン南部で1月2日、アラブ首長国連邦(UAE)の支援を受ける南部暫定評議会(STC)が北部からの独立に向けた取り組みを進める声明を発表し、地域の緊張が一段と高まっている。STCは今後2年以内に独立の是非を問う国民投票の実施を目指す方針を打ち出し、同国の分裂的な政治状況をさらに複雑化させた。
STCの指導者は国民投票計画を発表するとともに、南北間で「南部住民の権利を保障する道筋と仕組み」に関する対話を国際社会が後援することを求めた。声明では、対話が実現しない場合や南部が軍事攻撃を受けた場合には、独立宣言も視野に入れると、緊張を一層高めている。
この動きは昨年12月にSTCが石油資源が豊富なハドラマウト州など南部の広範な地域を掌握したことを受けて表面化した。これらの動きは、UAEがSTCを支援し、対してサウジアラビアはイエメン統一を支持するという湾岸地域の主要同盟国間の亀裂を浮き彫りにしている。
サウジとその支援を受けるイエメン政府は、STCの掌握地域奪還を目指して軍事行動を展開している。ハドラマウト州ではサウジ主導の連合軍による空爆が行われ、STCの軍事基地や空港が標的となるなど戦闘が激化しているとの報告もある。これにより死傷者が出ているという情報も伝えられており、停戦や和平交渉の見通しは立っていない。
この対立は2015年に始まった内戦で形成された複雑な勢力図の上に成り立っている。北部では親イラン組織フーシ派が首都サヌアを中心に勢力を拡大し、国連の承認を受ける政府は南部を拠点に戦闘を続けてきた。サウジはフーシ派を封じ込めるために軍事介入し、UAEも同盟国として支援に加わっていたが、両国の利害は今や対立の構図を示している。
UAEは最近、イエメンから残存する自軍部隊の撤収を完了したと発表。この撤退はサウジとの戦略的対立の深刻さを示している。UAE側は外交を通じた緊張緩和を主張する一方で、STC支援の継続を表明しているため、地域の安定化に向けた道筋はなお不透明である。
さらに、サウジ政府はSTCがアデン国際空港へのサウジ代表団の着陸を妨害したと非難し、域内の緊張は航空便にも影響を及ぼしているとの報道がある。アデン空港では一時的に発着が停止するなど、分離派と政府の争いが市民生活にも波及している。
国際社会はイエメンの分裂と戦闘激化を強く懸念し、国連をはじめとする各国が和平の必要性を訴えているが、現地では依然として戦闘が続いている。独立を求めるSTCの動きは、イエメンの将来の政治地図を大きく塗り替える可能性があるが、同時に地域の安定を脅かす要因ともなっており、今後の動向が注目される。
