イエメン政府とフーシ派が内戦史上最大規模の捕虜交換で合意
合意はオマーンの首都マスカットで行われた交渉の成果であり、国連のイエメン事務所と国際赤十字委員会(ICRC)が監督した。
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イエメンの内戦当事者である国際的に承認された政府と親イラン武装組織フーシ派は23日、約2900人の拘束者を解放する大規模な捕虜交換で合意したと明らかにした。この取り決めは2014年に始まった内戦で最大規模の捕虜交換となる。合意はオマーンの首都マスカットで行われた交渉の成果であり、国連のイエメン事務所と国際赤十字委員会(ICRC)が監督した。
サウジアラビアの駐イエメン大使はX(旧ツイッター)に声明を投稿。交渉チームの努力を称賛した。また特使はこの合意が人道問題に取り組み、イエメンでの平穏と信頼構築の促進につながると述べた。
フーシ派の報道官によると、解放される拘束者にはイエメン人のほか、7人のサウジ国民と23人のスーダン国民も含まれるという。
この合意は内戦の当事者間で12日間にわたって行われた会合の結果まとまったもので、2018年のストックホルム合意に基づき、「紛争関連のすべての拘束者を解放する」という約束を前進させる努力の一環とされる。国連特使はこの合意を「前向きかつ意義ある一歩」と評価し、拘束者やその家族の苦しみを和らげることにつながるとの見方を示した。
ICRCは解放と移送、帰還を安全かつ尊厳ある形で実行する準備ができていると表明した。ICRCは過去にも2023年に800人以上、2020年10月には1000人以上の囚人を解放する取り組みを支援してきた。
イエメン内戦は2014年9月にフーシ派が首都サヌアを掌握し、北部の大部分を支配したことから激化した。国連の承認を受ける政府はサウジやアラブ首長国連邦(UAE)を含む地域連合の支援を受けて南部を中心に抵抗を続けている。内戦はその後長期化し、戦闘員と一般市民を含めて15万人以上が死亡、世界最悪の人道危機を引き起こしている。多くの住民が食糧不足や医療不足に苦しみ、数百万人が避難を余儀なくされている。
今回の捕虜交換合意は停戦や全面的な和平には至っていないものの、信頼醸成措置として意義があると受け止められている。また、拘束者の家族にとって、長年にわたる不確実な日々に一区切りをつける機会となる可能性がある。政府とフーシ派はこれまでにも断続的に捕虜交換を行ってきたが、数千人規模の同時解放は極めて異例である。
ただし、内戦そのものの包括的な解決には至っておらず、依然として和平交渉や停戦の恒久的な実施が求められている。国際社会や地域勢力の支援のもと、双方がさらなる信頼構築策を進めることが、長期的な安定に向けた重要な課題となるだろう。
