イエメンの南部暫定評議会、分裂の兆し、サウジとUAEの対立続く
1月9日、STCのサウジ交渉団の一員がサウジ国営メディアを通じて組織の解散を発表したが、組織内部からは異論も出ており、その行方は不透明だ。
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イエメン南部の主要な分離主義勢力である南部暫定評議会(STC)が分裂・解散の様相を呈し、湾岸地域の大国であるサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)との関係に深刻な亀裂が生じている。1月9日、STCのサウジ交渉団の一員がサウジ国営メディアを通じて組織の解散を発表したが、組織内部からは異論も出ており、その行方は不透明だ。
STCはこれまでUAEの支援を受け、南イエメンの独立や自治拡大を求めて勢力を拡大してきた。2025年12月には石油資源が豊富なハドラマウト州などに進軍し、国境付近まで勢力を伸ばしたことがサウジ政府を強く刺激。サウジ主導の連合軍はこれを国家安全保障への脅威とみなして反発を強めた。
交渉に臨むはずだったSTCの指導者は、交渉開催直前にイエメンを離れ、UAE・アブダビに逃れたとサウジ連合は主張している。飛行機はアブダビ空港に着陸したとされ、UAEが関与したとの疑惑が浮上している一方、UAE側は関与を否定している。
サウジの首都リヤドで交渉に参加したSTCの代表は9日、サウジ国営放送を通じて組織の解散を宣言し、「南部の安全と安定のため」と述べた。サウジ国防相はこの決定を「勇敢な一歩」と歓迎し、南部諸問題を議論する包括的な会議を開催する意向を示した。
しかし、STC指導者の報道官は、組織の運命に関する決定権は評議会全体とその指導者にあるとして、この声明を否定した。さらにリヤドに滞在するSTC交渉団との連絡が途絶しているとし、分裂が進行していることも示唆した。
今回の混乱は、サウジとUAEの長年の同盟関係にも亀裂をもたらしている。これまで両国はイエメン内戦で共同して中央政府を支援し、親イラン組織フーシ派に対抗してきた。しかし、UAEがSTCを支援する一方で、サウジは南部の急進的な動きを自国の安全保障への脅威と見なしており、その対立が露呈した形だ。
STCは2017年4月に設立され、1967年から1990年まで南イエメンとして独立していた地域の復権を掲げてきた。長年にわたり中央政府やサウジ連合軍との協調と対立を繰り返してきたが、今回の出来事により組織としての一体性が揺らいでいる。
背景には、STCが独立色を強める軍事行動を取ったことに対するサウジ側の強い警戒感がある。連合軍の支援を受けるイエメン政府軍はSTCに奪われた領域の回復を図り、リヤドでの対話を進めようとしている。サウジは今回の動きが南部問題を政治的に解決する契機になるとみており、UAEとの間で調整を図りつつ今後の和平プロセスに向けた協議の場を設定する方針だ。
一方で、この分裂や混乱がイエメン内戦全体の情勢を複雑化させる可能性も指摘されている。南部の独立志向は根強く残り、STC内部での対立が続く中、和平への道筋はなお多くの障害を抱えている。人道危機が深刻化する中、地域大国間の関係悪化がイエメンの安定化を一層困難にしている。
