◎世界最悪の人道的危機がもたらす餓死者数は、現状を打開できなければ1,000万~2,000万人に達する可能性がある。
2019年11月23日/イエメン、首都サナアの病院(AP通信/Hani Mohammed)

3月16日、国連はイエメンのシーア派反政府組織フーシに対する攻撃の影響で飢饉と内戦が加速していると警告した。

国連のマーティン・グリフィス特別特使と人道支援責任者のマーク・ローコック氏は、一連の内戦がイエメンの政治的、経済的、人道的危機を引き起こし、状況は悪化し続けていると述べた。

2014年に始まった政府とフーシ派の戦闘は市民と数百万人の子供の生活を破壊した。世界最悪の人道的危機がもたらす餓死者数は、現状を打開できなければ1,000万~2,000万人に達する可能性があると指摘されている。

イエメン政府と同盟を結んでいるサウジアラビア主導の連合軍は、今もフーシ派と戦っている。

米バイデン政権のイエメン特使、ティム・レンデルキング氏は先週、フーシ派勢力に停戦提案に合意するよう要求したが、返事があったかどうかは明らかにされていない

グリフィス特別特使は国連安全保障理事会に、イエメン北部の石油が豊富なマリブ州に対するフーシ派の攻撃により、推定100万人の避難民が危機に直面していると警告した。マリブ州は政府の最後の拠点であり、首都サナアはフーシ派の支配下に置かれている。

「フーシ派はサウジアラビアとマリブ州の商業インフラに対するミサイルおよびドローン攻撃を加速させています。そして、それに対するサウジの報復攻撃は多くの民間人を危険にさらしています」

グリフィス特別特使によると、他の戦線でも戦闘が過熱し、今月初めにはハジャ州西部で連合軍による本格的な攻撃が始まったという。

グリフィス特別特使は、先週首都サナアのフーシ派の拘留所で発生した火災の独立した調査も合わせて求めた。そこに収容されていたエチオピアの移民が火災に巻き込まれ、数十人が死亡し、170人以上が負傷したと伝えられている。

2021年3月7日/イエメン、首都サナア、サウジアラビアはフーシ派の軍事基地を空爆した(AP通信/Hani Mohammed)

イエメンの子供たちは致命的な食糧危機と水危機に直面している。

グリフィス特別特使とローコック氏は、内戦による封鎖の影響で市内の食料、水、その他の商品の価格が急騰し、病院などの医療機関は水不足の影響で治療もままならない状態にあると述べた。

「現在、輸入品を積み込んだ13隻の外国船が港湾都市フデイダの近くで2か月近く待機しています。船舶の入港料と税金に関するフーシ派との争いを解決しなければ、支援物資を市民の手元に届けることはできません」

ローコック氏はアメリカの政策(フーシ派勢力の外国テロ組織指定の解除とサウジへの武器輸入停止)を評価したうえで、「イエメンは大規模な飢饉に向かっている」と安保理に訴えた。

「飢饉が発生すれば、これまでの努力は水の泡になります。どうか飢饉を止めるために、できる限りの支援をイエメンに提供してください」

国連の当局者によると、国連公約会議に集まったイエメンへの支援金は約17億ドル(1,850億円)で、目標の半分にも満たないという。

国連世界食糧計画のデイビッド・ビーズリー事務局長は先週、イエメンの現状について、「私たちは現代史上最大の飢饉に向かって真っすぐ進んでいます」と警告している。

「現在、1,600万人以上が危機的なレベルの飢餓またはさらに悪い状況に直面しています」

グリフィス特別特使は安保理に対し、「サヌア空港を復旧し、フデイダ港近くで入港を待っている船の物資を遅滞なく運び込み、停戦を実現することが喫緊の課題です」と述べた。

2021年3月7日/イエメン、首都サナア、サウジアラビアはフーシ派の軍事基地を空爆した(AP通信/Hani Mohammed)
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